【『折伏鬼』志茂田景樹インタビュー】創価学会をモデルにしたあの問題作が28年ぶりに電子書籍で復刊!

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 高度経済成長時代に躍進を続けるマンモス教団と、その教団に君臨するトップへの不信感で苦悩する青年信者――。1980年代に創価学会をモデルにして描かれた志茂田景樹の小説『折伏鬼(しゃくぶくき)』が、このほどiPhoneの電子ストアアプリ(グリフォン書店)から電子書籍として復刊される。自身もかつて創価学会員として活動した経験を持つ志茂田氏が、一人の架空の青年部員の視点を通して教団内部の矛盾を描いた問題作だ。初版から30年近くが経つ今も古書店では高値がつき、Amazonでもプレミア値がつくなど(2月16日現在の中古価格は約3,000円)注目度は依然として高い。復刊に向けた今の気持ちを志茂田氏に聞いた。

――文春文庫で出たのが1984年ですから28年ぶりの復刊です。

志茂田景樹氏(以下、志茂田) 今も若い方が古書などで読んでくれているようですね。創価学会の歴史を全然知らなくて、これを読んで驚いたという声も聞きます。ネットで最初に評判になったのは10年くらい前なんですが、最近のネット上の書き込みを見ると「古書店で見つけたけど高すぎてムリ」とか「図書館でやっと見つけたので読みます」とか。そういう方々にも今回の電子書籍化で手軽に読んでいただけると思います。

――志茂田さんご自身が、かつて熱心な学会員だったそうですが。

志茂田 入信が昭和38年で、40年には退転(脱会)したので、活動期間は3年弱でしょうか。当時の創価学会は、若者たちを吸引する一種の熱気のようなものがあって、僕自身も教団の中に埋没しながら、自分の夢をいっとき託したという時期があったわけです。辞めてからもしばらくそれを引きずっていたところがあり、区切りをつける意味もあってこの本を書いたというのもありますね。

――今回電子化される『折伏鬼』は、二代会長の戸田城聖氏のいわゆる「折伏大行進」で大躍進した時代をモデルに描かれています。また、『新折伏鬼の野望』のほうは、三代会長の池田大作現名誉会長の若かりし頃の、いわば教団の成熟期が描かれています。今の世代は「学会イコール池田氏」というイメージが強いですので、『新――』のほうが読んでピンとくるかもしれません。

志茂田 そうかもしれませんね。二代戸田会長の時代は75万世帯の信者を獲得し、教団に一番熱気が渦巻いていた時期。当時の入信者は病気と貧乏人が多かった(笑)。つまり、現世利益を説いていたわけで、会員もある意味で純朴な動機で、正しいかどうかは別にして、一生懸命に家族や友人を折伏していた。三代の時代(池田大作氏の時代)になってからは政治に進出し、いろんな意味で教団が拡大していった。僕はちょうどその時期に青春期を迎えて、教団の青年部でかなりアクティブにやっていました。僕らの頃は親の代からの学会員という二世会員がずいぶんいたので、家族を折伏する必要もなかったんです。僕自身の親は信者ではなかったですけどね。

――志茂田さんは友人をかたっぱしから折伏していたのですか。

志茂田 学会の王道とすればそうすべきところなんでしょうが、実は個人単位でもあまりしなかったです。個々でどうこうではなく、組織単位で自分の力を試してみたいという野心といいますか、純粋な信心とは別の次元でエネルギーを吐き出していた気がします。当時の青年部は軍隊的な組織で、そういう体制の中で、たとえば大学の文化祭とか体育祭の中で学生をマスで集めて教団に強引に導いていく。だから、選挙の時なんかはすごかった。今では考えられないことをしていましたよ。

――たとえばどんなことをされていたのですか。

志茂田 対立候補の選挙ポスターが貼ってあると、僕ら行動隊が行って、針金を切って外して燃やしてしまうとかね。そんなのは日常茶飯事。完全な公職選挙法違反。あと、選挙に限らずだけど、街中で寺を見つけるとお坊さんに法論をふっかけたり。法論といっても今思うと勝手な理屈で(笑)。でも大勢の学会員で押しかけていくから、向こうも閉口してしまうんですよ。

――『新折伏鬼の野望』には、まさにその時代が描かれています。主人公がそうした教団の空気に同化できず、冷静に自分を見つめ直し、同時に会長の人間性や教団の様々な矛盾に疑問を持ち始めていく。

志茂田 あの時代(編注:池田会長の時代)は国内で会員数が膨張しきってしまい、教団の拡大を海外へ求めた時代ですね。三代会長がやたら外国を訪問して、いろんな名誉賞をかきあつめていた頃でもある。「ナントカ名誉学長」とかいうのを何百と持っていますからね。そういう実績でノーベル平和賞をもらえると思っていたのかもしれませんが、ノーベル賞の選考委員の目もふし穴ではないですからね。

――創価学会が大教団になってから数十年が経過してオウム真理教が出現しました。志茂田さんは『新折伏鬼の野望』のあとがきに「オウム裁判の決着により、オウムの再生が始まった」と書かれていますが、オウムの今後をどうご覧になりますか。

志茂田 結論から言うと、オウムはなくならないと思います。むしろ、これからさらに膨張するでしょうね。地下鉄サリン事件以降、オウムは「アレフ」と「ひかりの輪」に分かれますが、それでも消滅しないというのが宗教の強さであり、怖さなんです。過去の例を見ると、大正時代に神道系の「大本(おおもと)教」という新宗教があり、亀山城を買収したり大正日日新聞を傘下に収めたりと派手な動きをしていたんですが、大正10年に不敬罪と新聞紙法違反で摘発され、教団トップ以下幹部が逮捕され、神殿も破壊されました。一種の弾圧なんですが、そこから分派したのが「生長の家」と「世界救世教」。弾圧を経てさらに大きな教団が生まれているんです。

――「大本教」はその後、昭和10年にも治安維持法で大弾圧をされています。

志茂田 それでも教団は三分裂して、今どれも活発に活動しています。創価学会も草創期に摘発されていて、初代会長や幹部が獄中に入っています。弾圧された教団ほどなぜか生き残り、潜伏期間を経た後に、ある時期がくると大きく復活しているんです。むしろそういうファナティックな力がないと教団は生き残っていけない。弾圧されて枝分かれして、時代の中で変質を続けながら、エネルギーを失わずにしぶとく生き残る。打たれ強いんです。だから10年、20年後は「ひかりの輪」も「アレフ」も、両方とも今より大きくなっていると思いますよ。今は数百人規模ですが、このまま消えることだけはないでしょうね。
(文=浮島さとし)

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