不動産賃貸物件の斡旋と管理をするHさん。「日本一おしゃれな街」「芸能人が合コンをやっている街」としてテレビで連日紹介され、都内でも最も人気の街にオフィスを構えている。しかし、リーマンショック以降、駅前でも古いビルには空室が目立つようになってきた。部屋があれば借り手はつく、そんないい時代を忘れられないオーナーたちに責められる切ない毎日。

業界の慣習を打ち破れず、古い体質に悩む
不動産会社管理職Hさん(40歳)

 Hさんが担当する物件は、地元の商店のオーナーが所有する雑居ビルだ。以前は下町の風情が残っていた商店街も、駅ビルができてから大きく様変わりをした。数年前まで賃料の坪単価はどんどん上昇して、物件によっては数ヵ月待ちが当たり前だった。しかし、リーマンショック以降、駅前でも古いビルには空室が目立つようになってきた。特にバブル前後にできた築20年以上経つ物件のテナントの紹介がうまくいかない。店舗用では借り手がつかずに、家賃が手頃な住居用に改築される物件も多い。

 不動産バブルを経験してきた年老いたオーナーたちは、ビルを建ててから部屋が空いている状態をほとんど経験したことがない。空室が出ないように、Hさんが家賃設定をもう少し下げるように丁寧に説明しても、値下げにはほとんど応じてもらえない。オフィスも飲食店も申し込みから半年待ちが当たり前と言われるほど人気だった数年前の栄光が忘れられないのだ。

 Hさんはビルのオーナーにいつもの喫茶店に呼び出される。

「H君、まだテナントが埋まらないのか? 家賃を下げろというアドバイスに従ったのに何でなんだ。内装もかなり金をかけていじって、エアコンも新品に取り換えたのに」

「オーナーさん、今はどこも苦しいのです。無理に貸しても家賃を滞納されたり、居すわられたりしてトラブルのもとです。ここはじっくりと待ちましょう。それより敷金をもう少し下げることはできませんか? 飲食店の場合、初期投資が大きすぎて、若い飲食店オーナーがこの街で商売をすることが難しくなっています」

 儀式のように、毎日繰り返し行われるこのやりとりには、もはやまったくストレスを感じなくなっていたHさんだった。

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