ホームベーカリーブームなどで「パン」の魅力に注目する人が増えています。2月15日に発売されたワンテーママガジン『ケトル5号』(太田出版)では「町のパン屋さん」を特集。地元に根ざしたパン屋さんの数々を取材するとともに、パンをめぐるさまざまなトリビアを紹介しています。

 町のパン屋さんの定番商品といえば、やはり「食パン」。同誌の巻頭に登場する下北沢のパン屋さん「ミクスチャー」でも、人気商品の1位に輝いています。日本人の朝食のひとつとしてしっかり根付いている食パンですが、その起源は文明開化の時代にまでさかのぼります。

 食パンの原型であるイギリスパン(山型のパン)が日本に来日したのは、文久2年。イギリス人のロバート・クラーク氏が、海外の衛兵や居留外国人向けにパンを作り出したのが始まりと言われています。

 そのクラーク氏が横浜で開店したのが「ヨコハマベーカリー」。現在も「ウチキパン」という店名で、横浜・元町で営業を続けています。

 当初は日本人に全く売れなかったという食パンですが、第2次世界大戦後に全国の小学校で「給食」が始まってから、一般家庭にも普及していきます。いわゆる「角食」と呼ばれる四角い食パンができたのもこの頃だそうです。

 「食パン」という名前も、給食にぴったりでした。これは日本人の造語で、「主食用のパン」を略したものだったのです。給食で食パンを食べた子供たちが成長し、お菓子ではなく、ご飯の主食として食パンは日本人に受け入れられていきました。今ではパン屋さんのない町を探すのが難しいほどです。

 『ケトル』では全国のパン屋さんを取材していますが、パン屋さんは朝がとても早い上に、熟練した技術が必要な大変な仕事だということがよく分かります。しかし、働いている方々はとても楽しそう。そのことがうかがい知れる言葉を、サンドイッチの名店「デリシャス」(東京・立川)の店主さんがこう語っています。

 「あんまりサンドイッチを作るものだから、いつの頃からか犬が手に寄ってくるようになりまして(笑)。おそらく、手からパンの匂いがしてるんでしょうな」

 日本人の"食"を担っている町のパン屋さんに、頭が下がる思いがする特集です。



『日本人の朝食の定番「食パン」は「主食用パン」の略語だった』
 著者:
 出版社:太田出版
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