2月も下旬に差し掛かり、私立高校一般入試も終盤を迎えています。最近の受験の傾向では、共学化が進んでおり、男子のみ・女子のみの学校に進学する生徒は、ほんのひと握りになっているようです。特に男子の場合は少なく、もはや絶滅危惧種といわれても不思議ではないレベルとなっています。平成22年度の文部科学省の調査によると、全国にある高校数は5116校。そのうち、「男子のみの学校」は135校。これはたったの2.6%にしかなりません。ちなみに「女子のみの学校」は343校で、男子のみの学校に比べれば2倍以上になります。

 最近は、私学で共学化ブームがおきており、多くの学生が共学校に進学するようになりました。共学化は、倍の人数を対象に生徒集めができます。生徒が集まらなければ存続ができない私学にとっては当然の流れなのかもしれません。

 そんな共学化ブームのなかで、やや肩身の狭い男子校ではありますが、「名門男子校は就職に有利」と、書籍『男子校という選択』のなかで紹介されています。

 ある男子校の校長は、「医師を採用するときには出身高校を見る。人の命を預かる仕事をする上で、信頼できる人間かどうかは、大学名だけではわからない。受験勉強だけでなく、しっかりとした人間教育ができている高校の出身者でないと採用しない」と有名な病院の院長からハッキリと言われたそうです。

 また、就職ジャーナリストの常見陽平氏は、「いわゆる名門と呼ばれる男子校出身者であることは抜群の価値をもつ。トップ企業の採用担当者の間では単に『東大』というのではなく、『灘─東大』や『開成─東大』というように、高校名と大学名をセットで捉えている人が多い。公立高校から東大に行った学生よりも、麻布からそこそこの私大に行って面白いことをしている学生のほうが評価が高いこともある。出身高校はその学生の人格形成を推測する上で有用なだけでなく、周囲にいる人々の質を知る手がかりにもなる。中高時代の友人や先輩・後輩関係は強いから、名門高校出身者は優秀な人材に囲まれており、社会人になっても良い影響を与え合うだろうと考えられる」といいます。

 常見氏はさらに、「ユニークな採用活動を行うことで知られる某モバイル広告代理店では、中学受験をしたかと聞く。中学受験は悪だといわれることもあるが、その企業では、中学受験をした学生は、地頭がいい、競争ストレスに強い、そして家での教育がしっかりしているという共通点があると考えている」と話します。

 『プレジデントファミリー』(2010年11月号)でも、優秀な人事マンは採用時、出身高校名を必ずチェックする、といった記事が掲載されたことから、現在の就職活動において、名門という条件は付くが、出身高校は無視できない要素になりつつあるようです。

 共学化が進むなかで、あえて思春期を「男」だけで過ごす。そこには、すぐ目には見えないが、利点が隠れていると言えるのではないでしょうか。



『絶滅危惧種な男子校の利点とは、就職活動に強い「男の園」出身者 』
 著者:
 出版社:日本経済新聞出版社
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