誰でも人間は「自分は特別な存在」

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 自分のことを特別な存在だと思ったことはありますか? 「そんなこと思ったこともない」と言う人もいるかも知れません。
 ところが、心理学の実験を通して人間を見てみると、どんな人も「自分が特別」だという結果になってしまうようです。心理学博士の上田彩子さんが執筆した『ヒトのココロの不思議がわかる ココロ学入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)では、とある実験を元にその事実を解き明かしています。

 研究者のウォルパートらは、人が押した強さが計測できるセンサーを取り付けた装置をつくり、2人の被験者を向かい合わせ、1人の被験者の左手の人差し指に、もう1人の被験者が右手の人差し指でその装置を押し付けるという実験をします。このとき、2人の被験者は個別に「相手が押してきたのと同じ強さで押し返す」ように指示されていました。つまり、この2人はもう一人がどのような指示を受けているのか全く分かりません。
 その結果、どうなったのでしょうか。
 なんと回を増すごとに、押す強さはぐんぐん強くなっていました。つまり、同じ強さで押し返そうと意識していたのにかかわらず、どちらの被験者も相手が押してきた強さよりも、強く相手を押してしまっていたのです。

 どうしてでしょうか。端的に言ってしまえば、人間は「自分に対しては鈍感」だからです。人は押す立場、すなわち能動的な立場にあるとき、無意識のうちに本人も知らない力を加えて押してしまっています。これは「予測どおりの感覚」というもので、例えば歩いているときに自分の手が身体に触れても特に気にならないのは、自分が与えている刺激が「予測どおり」であるためです。つまり、外界から刺激と自分が与えている刺激は、実は分けて考えられているのです。
 そのため、押す立場の場合は「予測どおりの感覚」の上に、さらに押されたときに感じた力を乗せようとします。それが、相手が押してきたときよりも強く押してしまう原因になっていたのです。
 例えば他人にくすぐられると身をよじるほどくすぐったいのに、自分で同じようにしてもあまりくすぐったくないことがあります。これは自分が自分に刺激を与えているからです。また逆に言えば、人を殴ったとき、実は相手は自分が思っているよりも強い力で殴られているということになります。
 自分と他人の感覚の違いに気づかない。それは、まさに「自分だけが特別」だからだといえるでしょう。

 『ココロ学入門』では、11の章から心理実験などを通して人の心をわかりやすく解説していきます。なぜフィギュアやギャルメイクに魅かれるのか、思い込みがもたらすとてつもない効果、「誰かと共有する」の大切さなどが心理学から分析されます。
 自分と他人が感じている世界はどう違うのか? そんな不思議の一端を知ることができるでしょう。
(新刊JP編集部)



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