■右翼か左翼かという括り方はできない

 仲間を何度も尖閣に運んだ漁船の船長、K氏にも話を聞いた。

「尖閣は遠いけど、魚は豊富なんですよ。ただ、4、5年前など200隻くらいの中国漁船が来ていました。不気味でしたよ。他の(石垣市の)議員さんたちは『(この問題は)国がやるでしょう』くらいの感じですが、仲間先生は自分で動く。私はそれに感心して応援しとるわけです」

 仲間を尖閣に連れて行ったとなると、漁師も締め付けを食らう。海保にほぼ1週間、毎日出頭させられて朝8時から夕方5時まで事情聴取を受けるのだ。

「その間は当然ながら漁に出られませんから、仕事がなくなるわけです。そしたら漁師は二度と誰も(尖閣に)連れて行こうとは思わなくなる。相手はそれを狙っとるんですよ。でも、それでも私は行きますよ。取り調べの役人にはこう言ってやったですよ。『朝から晩まで毎日出てきとるのだから日当を出してくれんか』と(笑)」

 海保は漁船に付いているGPS(全地球測位システム)をチェックする。その航跡を調べて尖閣へ行ったことが判明するとまずいので、その都度消去しているという。島内では「仲間議員? 浮いているね」「市議会の暴れん坊だよ」という声があると同時に、K氏のような熱烈なシンパも少なくない。「彼は議場でもよくケンカをするが、後腐れない。福祉活動にも熱心な情の人」とは地元『八重山毎日新聞』の記者の弁である。仲間はこうも言う。

「海保とはいつもやり合いますよ。でもね、彼らも仕事だからです。大変だと思いますよ。新年早々から波の高い冬の海で、不眠不休で我々の船を追っていかなくてはならない。必死になって日本の海を守ろうとしている。そこが霞が関と違うんです。現場では結構わかり合えるんです」

 海保の人間に「(尖閣問題は)やはり(あなたのように)動かなくてはだめだ」とエールをもらったこともあるという。

 ふと思った。例の尖閣諸島中国漁船衝突事件後に、その映像を「sengoku38」名で最初にYouTubeに投稿した元海上保安官、一色正春とは面識があるのだろうか。

「ああ、それはないですね。もしかしたら、過去、私を止めに来た海保の船に乗っていて戦った関係だったかもしれませんが(笑)」

 かつて取り締まる側だった一色と、取り締まられる側の仲間。霞が関にはわからないだろうが、これなどは尖閣の現場で共有される思いの最たる例と言えないか。

「国は年間約2400万円で地権者から借りているのに、石垣市は行政区域である尖閣諸島の固定資産税を年間たった80万円しかもらっていない。この評価額もおかしいでしょう。私を『右翼だ』とひと言で批判する人もいますが、別に社民党だろうが、共産党だろうが、この問題と向き合ってくれるのなら誰でも構いません。一緒に視察に行きますよ。石垣島は国民健康保険も破綻している。そんななかで尖閣で天然資源が採れれば一気に潤(うるお)う。市民の生活に右も左もないじゃないですか」

 離島が置き去りにされかねない道州制にも反対だという。ステレオタイプな右翼か左翼かという括(くく)り方で仲間を見ようとすると足をすくわれる。仲間は保守政党が推進した原発にも憤慨し、反対している。

「原発推進の政策は自民党政権が悪かったと思う。それもアメリカと結託して進めた。安全なエネルギーがたくさんあるのに。沖縄なら太陽光発電、風力発電で十分まかなえます。文部科学省が子供の年間被曝量の基準値をいきなり20ミリシーベルトに上げた。これも、なんの根拠も保証もないですよ」

 異議を唱えるだけではなく、福島県の子供を石垣に疎開させるプロジェクトも推進している。