「マーケターに求められる資質は、新しい仮説を生み出す力と世の中に貢献する意識」─ 花王 本間氏

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 変化を続ける消費者の価値観や消費行動に、企業はどのように対応していけばいいのでしょうか。マーケティングコンサルタントのサイコス青葉哲郎氏が、第一線で活躍するマーケティングのプロフェッショナルに聞く対談連載。今回は、花王のWebマーケティングを牽引する本間充氏にお話を伺いました。消費財という成熟市場で存在感を保つカギは、どのような部分にあるのでしょうか。

今回お話を伺ったのは…

花王株式会社 Web作成部 Web技術グループ グループリーダー
本間充氏
北海道大学卒業、数学修士。1992年、花王に入社。1996年まで、研究所に勤務。研究所では、UNIXマシーンや、スーパー・コンピューターを使って、数値シミュレーションなどを行う。研究の傍ら、Webサーバーに遭遇し、花王社内での最初のWebサーバーを立ち上げる。 1997年から研究所を離れ、本格的にWebを業務として取り組み、1999年にWeb専業の部署を設立した。現在は、花王のWebの技術室の室長を務めている。新しいWebのコミュニケーションの検討・提案や、海外への展開なども担当し、広く花王グループのWebのコミュニケーションに関わっている。
日本数学会会員。公益法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 代表幹事。オープン・モバイル・コンソーシアム メンバー。

■研究職として入社、「落ちこぼれ」と言われ挫折からのスタート



 青葉――経歴を拝見すると、大学と修士課程では数学を学ばれていたんですね。なぜ花王に入社されたんですか。

 本間:あまり結びつきませんよね。僕らは教授たちから、「数学を実業に活かすときには気をつけなさい」とよく言われていました。数学は軍事産業などに応用されるケースもあり、他人を傷つけることにつながる可能性もあります。そこで、就職を考えたときに、まさか生活用品のメーカーならいくら数学を追求しても人を傷つけることにはならないだろうと思って、花王に研究職として入社しました。

 希望に胸を膨らませ入社したわけですが、入社後に行われた幹部のお話で「君は大学を出された身だ。大学時代は落ちこぼれだったことを忘れるな」というメッセージをいただき、自分が落ちこぼれだったことをその場ではじめて知りました。実は、私の社会人生活は挫折からのスタートなのです(笑)

 青葉――現在のご活躍からすると想像できないスタートですね。研究職時代はどのような仕事をされていたのでしょうか。



 本間:研究所の考え方自体、これまでの大学院での研究にこだわらずにさまざまなことをやってみなさいという方針で、いろいろなことをやっていました。大型計算機やワークステーションに触れる機会もあり、コンピューターにのめりこんでいきました。そして、たまたま他の部門でコンピューターやマルチメディア関係の知識が必要になったときに、そこへ来ないかと誘いを受けまして。それが、研究以外の生き方もあるのかもしれないなと考えるきっかけになりました。

 結局、そこにはタイミングの関係で入らなかったんですが、気持ちはすでに「研究所を出てみよう」と固まっていて(笑)。行き先も決まらないまま、先輩に研究所を出たいと申し出たところ、今度は広告の部門の上長が声をかけてくれて、異動することになったのです。

 青葉――でも、広告の知識はまったくなかったわけですよね。研究職からの転換に、戸惑いはありませんでしたか。

 本間:確かに、自分も周囲も何ができるか分かっていませんでしたし、肩書きもつけようがないからとりあえず「デザイナー」の名刺を持たせてもらって、しばらくは模索状態でした。でも、自分から言い出したことですし、戸惑うことはなかったですね。その後、立ち上がったばかりのWebサイトの改善策を提案したところ、それが通りました。97年秋のことですね。それから、本格的にWebマーケティングに携わることになりました。



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