今はサラリーマンでも、「いつかは独立しよう」と思っている人は多いはず。
 しかし、独立・起業にはそれなりのリスクがあります。これまでの収入を投げ打ってまでやるべきか、という点で悩み、尻込みしてしまったりもします。
 どこかにリスクが少なくて、それなりにお金を稼げて、尚且つ組織にしばられない仕事はないのでしょうか。
 『コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ法』(松尾昭仁/著、集英社/刊)は、それまでの仕事で培った知識を活かして、コンサルタントとして独立するという生き方を提案しています。「コンサルタント」というと「エリート」「頭がいい」といったイメージがあるため、自分にはとても無理だと思われがちですが、やり方次第ではどんな人にでもでき、それなりにお金を稼げるなど、たくさんのメリットがあるようです。
 今回は後編、独立する際の目安やコンサルタント向きの性格について、お話を伺いました。

―コンサルタントとして独立する際の目安として、専門とする分野についてどのくらいの知識があればいいとお考えですか?

松尾「もちろんあればあるほどいいんですけど、どこまで知識があれば教えていいのか、ということですよね。たとえばセミナーの業界についてですと、一番キャリアの長い人でセミナー歴30年とか40年くらい、年齢だと60歳以上です。それに対して僕は今44歳で、セミナー講師歴5年くらいです。5年ってそんなに長くないじゃないですか。でも、僕はセミナー講師歴1年くらいの時に、もうセミナーの開催ノウハウの本を出していました。
なぜそんなことができたかというと、対象者を自分よりも経験が少ない人、つまり、まだセミナーをやったことがないけどやりたいと考えている人にしたからです。
僕の1年間の経験によるノウハウでも、経験がゼロの人にとったら大きいんですよ。そういうことで、経験が浅くても経験ゼロの人に教えるということならば、コンサルタントになれるんじゃないかと思います」

―コンサルタントになりたいけども躊躇してしまう理由として、専門にしようと考えている分野で一番知識を持っているわけではないのに人に教えるなんておこがましいというのがあるとおもうんですよね。

松尾「それはありますね。でも、経験を積んで70歳にならないと教えられないと考えてしまったら、いつまでもお金を払う側です。お客さんより知っていればいいんですよ、自分より知識を持っている人に対しては謙虚に教えてもらえばいいのであって。その姿勢を持っていれば問題ないでしょうし、それで文句をいうような人がいるなら、その人は大した人じゃないと思いますね。大したことない人が潰しにかかってくるんですよ。そういう人は無視すればいいんです」

―コンサルタントとして独立するメリットにはどんなものがありますか?

松尾「まず、お金がかからないことです。たくさんある仕事のなかで、ほとんど資本がなくてもできる仕事ってそんなにないと思います。コンサルタントはそういう数少ない仕事の一つです。僕の周りにいる出版コンサルタントにしてもメディアコンサルタントにしても、開業の準備はあまりしていなくて、名刺を刷っただけ、という人もいます。大体みんな事務所を持っていなくて自宅でやっていますしね。電話番号はさすがに携帯だけだと怪しいから固定電話の番号を持っていますけど、大体携帯に飛ばしていますし。あとは、事務代行会社につながって『社長は留守です』といわれて折り返し電話がかかってくるとか(笑)言われてみれば事務所のあるコンサルタントの方が少ないかもしれません。自宅でやっていれば光熱費を半分くらい経費で落とせたりしますしね」

―経済的なこと以外のメリットはありますか?

松尾「ストレスがないことです。たとえばクレームひとつにしてもそうです。クレームって安いものに対して多いんですよ。でも、コンサルティングを受ける時って基本的に結構お金を払うじゃないですか。そうなると、やはりそれなりの人がくるものです。
僕はいつもクライアントの方に、自分の言い値でいいので料金表を作って、それを見て相手が値下げしろとか合いみつを取れとか言ったら、その顧客は断れと言っています。なぜかというと、ダンピングする人っていうのは値段を見ているのであって、コンサルタントのことを信用していないからです。だから、一度は発注してももっと安い人が見つかったら「やっぱりやめた」と言いかねない。それなら「松尾さんを信用します」という人と付き合っていけばいいんです。だから、価格を下げる必要はないし、下げたら負けだと思っています。
自分を信用している人と仕事をするというのはストレスがないんですよね。ストレスって基本的に信頼関係がないところに生まれるので」

―松尾さんがコンサルタントとして独立しようと思った理由は何だったのでしょうか。

松尾「成りゆきもあるんですけど、強いていえばお金がなかったことですかね。売りものもなかった(笑)でもある時、自分の知っていることを知らない人に教えたら喜ばれることに気づいたんですね。
知っている人からしたら当たり前のこと、たとえば企画書の書き方とか編集者との付き合い方などを知らない人に教えてあげることでお金になるんです。
出版の例ですと、今まで集英社さんや講談社さんはビジネス書には本格的に参入していなかったですよね。でも、本を出したいという素人の方に「どの版元から出したいですか?」と聞くと、平気で講談社とか集英社って言います。こういうことも教えてあげるとお金になるし、感謝されるんです」

―コンサルタントとして独立するためには、それぞれ自分の強い分野、専門としていく分野を見つける必要がありますが、どのようにそれを決めたらいいですか?

松尾「一番いいのは、よく人に質問されることを専門にすることです。
たとえば僕のクライアントで国民金融公庫に勤めていた方がいるんですけど、何をよく聞かれたかと聞いたら、「お金の借り方」だと言っていました(笑)」

―コンサルタントとして成功するためにカギになるポイントはどんなところだとお考えですか?

松尾「やはりコミュニケーション能力でしょうね。どんなに専門性や知識があっても人とお話できない人や、笑っていられない人は成功しにくいと思います。クライアントの方は悩みがあって相談に来ているのに、相手が笑っていなかったら怖いじゃないですか。このあたりはお医者さんと似ているかもしれません」

―本書の中で、コンサルタントは「低リスク中リターン」としていましたが、その中でもリスクと考えられることはどのようなことでしょうか。

松尾「クレームではないでしょうか。コンサルタントの仕事はモノを納品するわけではないので、いくらでもクレームをつけられるんですよ。そのリスクをヘッジするためには、やはり契約書です。契約書を交わしたおかげで、僕も何度かクレームをつけられたことがありますが、負けたことはないですね。また、まれにですが、負けるのを覚悟で被告としてネクストサービス(松尾さんが経営している会社)に名前を出したいっていう人もいます。
そういう人には、自分の見る目がなかったんだと思ってお金を返します。そういうことがあるからこそ、気の合う人と仕事をするべきです。
そもそもコンサルティングは、結局は相手が動かないとうまくいかないことが多いです。うまくいかないという評判が立つと、場合によってはうまくいかなかった人たちが徒党を組んでくる可能性もあります。そうなったらもう火消しですよね。これはクレイジーだと思ったら、間に弁護士に入ってもらって返金します。
でも、そこまでになったのは一件だけでしたね。契約書があれば基本的に問題ないです」

―コンサルタント起業に向いている性格、不向きな性格はありますか?

松尾「人嫌いな人は向いていないと思います。反対に、世話焼きな人、兄貴肌の人は向いていますね。
コンサルタントとしてのキャリアが長くなると、専門性が高まってくるものですが、お客さんからしたら、その専門性が欲しいわけではなく、あくまで自分の悩みが解決したり、自分のしたいことができるようになればいいわけですから、あとは人間性の勝負になってきます。だから、僕はコンサルタントを志す士業のお客さんには、「もう勉強はいいから人と会いなさい」と言っています。会話の勉強をしましょうということですね」

―最後に、コンサルタントとして起業を考えている方にメッセージをお願いします。

松尾「独立・起業する前に、週末や休日など、今のお仕事の勤務外でコンサルタントをするのもありだと思います。この本を読んで自分もやってみたいと思ったら、まずは副業として始めてみて、お客さんがついて自信がついたら独立するという手もあります。
以前は大企業を中心に副業既定が厳しかったですが、だんだんゆるくなってきています。それなら自分の人生のリスク管理をする意味でも、会社に勤めながら自分のスキルを磨いていくのもいいと思います。
副業をやって稼げていないうちは、おそらく会社も文句を言わないんですよ。文句を言われる時っていうのは、副業が社業以上に目立った時だと思うんです。それはそれでいいことですし、人生一度きりなんだから、やりたいことをやってみるべきです。その中でコンサルタントは、億万長者にはなれないけども低リスクで中リターン、具体的には年収1000万〜1500万円くらいまでは稼げる素敵なビジネスになるんじゃないかなと思います」
(取材・記事/山田洋介)


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