モデルに憧れる女性は少なくないだろう。だが彼女たちは、時間外労働をすることが多く、栄養が不十分なことも珍しくない。そしてまだ弱い立場の10代であることも忘れてはいけない。

多くのモデルは10代の頃からキャリアをスタートさせるが、中にはロシアや東ヨーロッパの貧しい家庭出身のモデルもおり、(家族の生活を支えようとモデルとして働く上で)職場での性的嫌がらせや無節操な事務所、自分の体を変えるように(=痩せるように)という命令、バックステージでのプライバシーの欠如といった、ひどい現状に声を上げる人はいない。

「モデルは不安定なフリーランスの労働者なの」と語るのは、14歳でモデル界に入ったサラ・ジフさん。「仕事の安定なんてほとんどないに等しいわ。"勝者がすべてを手にする"世界なの。ジゼル(みたいに大成功を収めているモデル)は1人しかいないでしょ」

そこでジルさんが立ち上げたのが、"Model Alliance(モデル同盟)"。モデルの労働条件の改善を目指し、若いモデルのより良いケアに努めるよう、業界に訴えかけていくという。また、設立に際しては有名デザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグが会長を務める米国ファッション協議会(CFDA、Council of Fashion Designers of America)の力添えもあったそうで、特にバックステージに(隠し撮りなどを目的とした)フォトグラファーがいないかを厳しくチェックしていくそうだ。

毎年、いや毎日のように新たなモデルが発掘されては、ランウェイに登場するモデル界。たとえ少しずつではあっても、モデルたちの労働環境が改善されることを願うばかりだ。