中小企業社員と大企業社員、サラリーマンと公務員…“理不尽な給与格差”はどうして生まれるのか?
 そんな格差のカラクリを暴くのが山口俊一さんが執筆した『理不尽な給料』(ぱる出版/刊)である。
 「仕事の価値や能力、努力が正当に評価されて、それに見合った賃金が決まる社会」に近づいていって欲しいと書籍内で山口氏は述べる。それは誰もが感じるところだが、現状と理想は大きく乖離しているようにも見える。では、実態はどうなのだろうか。著者の山口氏にインタビューを行った。今回は前後編の前編をお送りする。

■これから安定した収入が得られる見込みの成長業界は?

―職業別、地域別、雇用形態別など、さまざまな場面で理不尽な賃金格差が発生していることが分かり、被雇用者として、これはある意味で非常にショッキングな内容の本だと思いました。本書を執筆した狙いはなんだったのでしょうか。

「「あとがき」にも書きましたが、読者や読者の家族が、就職先や転職先選択の際、あくまで報酬水準の観点から正しい判断ができる材料を提供したいということです。
もちろん「やりたい仕事」「自分に適した職業」が明確であるなら、そのことの方が優先度は高いでしょうが、もし同じ仕事をするなら「報酬の高い方」を選ぶ方がよいのではないでしょうか。
また「仕事の価値や能力、努力が正当に評価されて、それに見合った報酬が支払われる会社や世の中」に少しでも近づいて欲しい、という願いもあります」

―こうした理不尽な格差が存在していることに対して、被雇用者である私たちができることはなんですか?

「まずは、実態を正確に把握し、これから就職・転職先を考えている人は、適切な選択をすること。たとえば、ある大学生が大企業に入りたいけれど採用してくれる会社がない。そのとき、(1)あくまで大企業に就職したいので就職浪人するのか?(2)中小企業の中から良い会社を見つけ就職するのか? (3)中小企業に就職するくらいなら、フリーターになるのか? といった選択肢の中からどれを選ぶかによって、その後の人生や生活は大きく変わります。私なら、断然(2)をお勧めします」

―ここからは本書で執筆されていることを中心にお聞かせ願えればと思います。まず、さまざまな資金格差が本書でつづられていますが、山口さんが最も理不尽だと思う格差はなんですか?

「やっぱり公務員と民間企業の官民格差ですね。特に、退職金や天下りに対して。
ただし、公務員全ての賃金が高いと思っているわけではないのです。完全年功賃金のため、20代、30代の若手は決して高くありません。また、中央省庁で国の政策立案や法改正の中心的な役割を担っている人材については、一流企業並みの報酬が支払われるべきと思います。
あと民間企業の中に限定すれば、正社員と非正規社員の雇用間格差です。賃金差があること自体に問題があるのではなく、一旦正社員で入社した人は定年まで正社員の身分が保証され、パート・アルバイト、契約社員で入社した人は一生そのままという、格差の固定化こそが問題と考えます。サッカーのJリーグで、毎年J1とJ2の入れ替えがあるように、ダメな正社員と優秀な非正規社員の入れ替えが柔軟にできるようになれば、理不尽な状態はかなり解消します」

―年功序列と成果主義、平均してどちらの方が労働者は多く賃金を得られるのですか?

「これは難しい質問ですね。優秀な人は成果主義、平均以下の実力の人は年功序列、という答えになるでしょうか。
私自身は成果主義論者ですが、完全な年功序列の会社があってもいいと考えています。そのような会社を希望する人材は少なくありませんし、それで優秀な人材が集まれば、会社としては十分成り立ちます」

―賃金格差という点からベストな就職先はどこだと思いますか? また、企業・業界選びで最も重要視すべき点はなんですか?

「これまでは、公務員、独立行政法人などの準公務員、電力会社やガス会社といった規制産業、あとは総合商社や金融機関などの大企業でした。
これから就職先を考えるのであれば、今後も成長が見込まれる高収益の企業。たとえば電子部品や産業機械のメーカー・専門商社の中には、世間的に有名ではなくても、優れた企業がたくさんあります。優れた会社は、給料水準だけでなく、社員が成長できる環境がありますので、自らのレベルアップの観点からも有望です」

<後編に続く>


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