一方、プライベートの錦織とはどんな人物なのか。米沢氏はオフの素顔にも、非凡なものを感じ取っていたという。

「オフの日は、朝たくさん寝て、午後はうちに来てゲームに熱中していました。そうですね、当時はプレイステーションやゲームボーイでした。ただ、おもしろいのは、テニス同様、ゲームの中でもオリジナル技を編み出そうとすることです。しかも、普通の子はしばらく遊ぶと飽きますが、圭はずーっと続けている。その集中力はびっくりするほどでした。私も日本にいたら『目が悪くなってテニスにも差し障りが出るぞ』などと言ったかもしれませんが、(フロリダのアカデミーがある)アメリカでは、視力のよしあしは遺伝と言われ、『映画館に行ったからといって目が悪くなるか』という発想。だから、本人もそれでリラックスしているわけですし、私も注意したりはしませんでした」

 前出・専門誌記者もこう証言する。

「とても礼儀正しい青年ですが、ふだんからひょうひょうとして、ちょっとやそっとでは動じない。大舞台を前にしても、まったく緊張のそぶりを見せません。ただし、さすがに08年11月、『フライデー』に卓球の福原愛(23)とのツーショットデートを撮られた時は『どうしよう』と悩んでいたそうです」 

 福原といえば、先日、悲願の全日本選手権女子シングルで優勝を果たしたばかりだ。

「彼女は今も仲のいいガールフレンドの1人で、メールのやり取りもあるようです。錦織がケガでリハビリをしていた時期も、励ましメールを送っていた。一方、08年にIMGアカデミー(世界最大のテニスアカデミー)に留学してからのつきあいがある、女子プロゴルファーの宮里美香(22)とも仲がいいですね。フロリダの自宅も5軒隣のご近所さん。食事も一緒に行く間柄です」(前出・専門誌記者)

 全豪での試合後、錦織本人はこう語っている。

「楽しいと思った瞬間もありましたが、つらさのほうが多かった。正直、まだまだ勝てる気がしません。自分が100%以上の力を出さないと難しいですね」

 だが、その一方では、

「自分のテニスが十分通用するとわかりました。また一回り大きくなったと思います。自信を持って頑張りたいです」

 小学校時代の文集には、将来の夢として「4大大会制覇」と記した錦織。それもあながち、夢物語ではない。米沢氏は、あらためて言う。

「ゆっくりと時間をかけて体を作り、体力を上げていくことです。そして、サーブと、バックハンドの高いところに打ち込むショットを強化すれば、本当に世界のトップ選手になります」