メディアが報じない“日本経済の一人勝ちシナリオ”

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 日本国内にいる限りでは、日本経済破綻論を耳にすることが多いだろう。
 確かに3・11以降、日本経済はかなり落ち込んだ。しかし、それもわずか半年で急速に回復してきているという。実は今、日本は世界の中で一人勝ちに向かっている――そう主張するのが、『日本と世界を直撃するマネー大動乱』(マガジンハウス/刊)の著者で経済アナリストの増田悦佐氏だ。

 では、どうして日本を悲観論ばかりが覆っているのか。
 増田氏はその一つの要因にメディアの報道をあげる。昨年から今年にかけて、パナソニックがテレビ事業を縮小、日立製作所がテレビ製造から撤退という“暗い”話題が流れたが、これをメディアはまるで喜び勇むかのように報道した。これらの企業がテレビから撤退した理由はまさに「儲からない」からなのだが、その一方で、テレビの中枢にある基幹部品は価値が高く、利益率も高いため製造を続けている。
 また、「iPad」や「iPhone」の中にある最も付加価値の高い部品も、日本の企業が製造していることはよく知られている。消費財の基幹部品でいちばん利益率の高いものは、相変わらず日本企業が製造しているのだ。

 さらに、日本経済は国債残高の対GDP比率が世界一高いため、金融恐慌に見舞われたら危機的状況になると議論する人たちがいる。
 これについても、増田氏は「ノー」を掲げる。日本国債は極端な内需型金融商品であり、海外の投資家の持ち分は約5%。アイルランドの83%、ギリシャの65%、さらにアメリカの31%という数字と比較すると、雲泥の差がある。そのため、海外から取り立てが入る危険性はないだろう。
 また、国債の財政負担となるのは残高ではなく、あくまで金利だ。日本の国債金利は10年債でもわずか1.0パーセント前後であり、その他の先進国の2分の1から3分の1止まりとなっている。これは比較的経済が強いとされるドイツやアメリカと比べても半分の数字であり、増田氏は「いったい、どこに金融破綻のきっかけが隠れているというのだろう」とつづる。

 冒頭に世界経済の中で日本は一人勝ちに向かっていると書いたが、本書では諸各国が金融危機のドロ沼に沈み込んでいく展開が指摘されている。
 ギリシャ危機は2012年中に何かしらの結論が出そうだが、その結論は決して楽観的なものではなく、ユーロ圏の諸国が共倒れになる恐れもあるという。また、アメリカの経済成長は横ばいで、中国、ロシア、韓国はほとんどプラスマイナス0。台湾やブラジルは大幅なマイナス成長であり、日本のようにきちんとチャートを見ただけで分かるようなプラスになっている国はないというのだ。
 悲観論ばかりが漂う日本だが、本書を見ると世界経済そのものが悲観的であり、その中で日本はまだ生き残っていける力があることが分かる。まさに、目からウロコの一冊といえるだろう。
(新刊JP編集部)



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