ニュースの教室:3限目「日本ブランドの再生」―電機大手4社の巨額赤字が出したサイン―

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ニュースの現場から、ビジネスに活きるヒントを見つけ出す連載コラム「ニュースの教室」。
3限目となる今回は「日本ブランドの再生」。
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日本が誇る電機大手4社が巨額の赤字を出した。
これまで日本経済のリード役だった電機メーカーに、
新たな展望はあるのだろうか。

電機大手8社の2011年4〜12月期の連結決算が出た。
そのうち赤字を出した4社の売上高と損失額は、
・パナソニック 8.0兆円/7,800億円
・シャープ   2.5兆円/2,900億円
・ソニー    6.4兆円/2,200億円
・NEC    3.1兆円/1,000億円
となった。

ちなみに日立製作所、東芝、富士通、三菱電機も、
売上高や利益を大幅に減らしている。
いわば電機8社は総崩れといった状態だ。

電機メーカーが打撃を受けた直接の原因は、
1.急激な円高と欧州危機
2.東日本大震災やタイの洪水
3.エコポイント特需の反動

などが挙げられる。

さらに構造的な要因として、国際競争力の衰えがある。
韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスの戦略に敗退したのだ。
【大量生産>値下げ>販売増>収益の再投資>大量生産】
というサイクルで時間をかけて締め上げられてきた。

●        

では日本の電機メーカーに生き残りの道はあるのだろうか。
もっと言えば、日本のメーカーに生き残りの道はあるのだろうか。

もちろん生き残りの道はある。
生き残るためのサインをメーカー自らが発しているからだ。

例えばソニーのテレビ事業の凋落が発したサインはこうだ。
・ハード製品と音楽や映画などのソフトとの融合を目指した。
・販売が低迷し、ハード部門はリストラが繰り返された。
・世界初の有機ELテレビを商品化したがその後開発が停滞した。
・今年1月サムスンとLGが大型有機ELを発表した。

ソニーはもちろん製造会社ではあるのだが、
ソニーの価値は生産ラインにあるのではなく、
商品企画、技術、技能の高さにあったのではないだろうか。

これまではたまたま技術と製造を同時にやってきたが、
これからは製造を韓国勢にお任せして、
企画と技術で勝負する態勢を早める必要があったのではないか。

製造で負けたので企画と技術も手放そうとしたソニーだが、
このことが日本の企業と私たちに教えてくれることが2つある。

1.たくさん作る、たくさん働くといったやり方は、
もっと安く作る(働く)相手が出てくると、すぐ捨てられる。
2.技能、技術、発想、ワークスタイル、意地といった、
自分に内在しているものは他と競合しない。
これを捨てずに磨き上げ、売りものにする努力が大事だ。

ブランドとは2.がもたらす果実にほかならない。

文●楢木望
ライフマネジメント研究所所長/ビジネスエッセイスト
『月刊就職ジャーナル』編集長、『月刊海外旅行情報』編集長を歴任。その後、ライフマネジメント研究所を設立、所長に就任。採用・教育コンサルタント、就職コンサルタント、経営コンサルタント。著書に『内定したら読む本』など。