「一人カラオケ」の専門店が、東京都の神田駅前に登場し、中高年を中心に話題となっています。全国でカラオケ店を展開する「コシダカ」がオープンした「ワンカラ神田駅前店」は、部屋は全24PITで全室禁煙(ルームではなくPITと呼ぶ)。約2平米の部屋はコクピットをイメージ。女性専用ルームも5PIT設けているようですが、40〜50代の男性の利用が多いようです。意外とニーズのある「一人カラオケ」。他人の歌を聞く時間もなく、延々歌って楽しめるのも、人気のポイントなのではないでしょか。

 そんな一人で楽しむカラオケが流行しつつあるなか、対極にあるような書籍が話題を集めています。本屋大賞にノミネートされた書籍『くちびるに歌を』は、長崎県五島列島のある中学合唱部の物語。産休の先生の代わりに、1年間限定で合唱部にやってきたのは、東京の音大に進んだ、元神童で自称ニートの美しすぎる臨時教員でした。それまで女子部員しかいなかった合唱部に、先生に魅せられた男性生徒が多数入部するも、案の定、真面目に練習をしない男子と女子が揉め出し、対立が激化します。

 一方で、夏のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)県大会出場での課題曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、臨時教員は部員たちに宿題を課します。そんな手紙には、誰にもいえない等身大の秘密が......。同作は、手紙を中心に物語が進行する、かつてない幸福感が訪れる青春小説です。

 ちなみに、著者の中田永一氏は、カラオケに行っても一切マイクを握らないとのこと。どんなに歌わざるをえない雰囲気だったとしても、声を発することはないそうです。自分の人生に一切存在しないピースは「歌」だとも言い切ります。だからこそ、今回の作品に挑んだとも。

 「作中の主人公たちとおなじ、十五歳だったとき、自分の人生にも歌があったとしたら......。いっしょに歌う仲間がいたとしたら......。自分の人生はどんなに豊かだったろうか。また、これを読む少年少女たちの心にも、歌のかけらがのこってくれたら、どんなにかいいだろうか。僕はそうおもいながら、この小説を書きました」(中田氏)
 
 鼻歌交じりで同作を読み進めるのも、楽しみ方の一つなのかもしれません。



『一人カラオケよりも仲間と合唱?  ある中学合唱部の物語『くちびるに歌を』』
 著者:
 出版社:小学館
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