■「有料入場者5,000人」でムーブメントを起こしたい

――昨年3月11日の東日本大震災以降、日本は世の中の枠組み、流れや人々の考え方や行動など全てのことが変わってきたと思います。その変化に対し、愛媛FCはどのように対応していこうとお考えでしょうか?

亀井社長「僕自身、スポーツが被災された方々を励ませる存在という価値を感じましたし、地域の心に元気を与えることができることを、結果は別にして感じました。僕らはスポーツを通じて皆さんに元気を与え、経済効果につなげていく。そういった貢献をもっとアピールしていきたいと考えています」

――そういったことを踏まえて、今季に向けてのイメージはできていますか?

亀井社長「昨シーズンは8位以内を掲げて15位だったわけですから、8位以内は絶対条件。その上でJ1昇格プレーオフに絡める6位以内にいきたい。それが1つ。スタジアムにかんしては先ほど言ったように固定席15,000席の設置をお願いして着手してもらう。2012年度にはオーロラビジョンや芝の改修にも着手すると聞いていますので、2013年春にはスタジアムの設備が整っているようにしてもらいたいと願っています」

――ただ、J1昇格を目指すのであればそこは強く要望しないといけない部分ではありますよね?

亀井社長「ですので、我々だけでなく、サポーターの皆さんにも後押しをして頂けるとありがたいです。先日、松山商工会議所からも街中スタジアムの提言が出ていたように、理想は市内の中心部に出来るのが望ましいのですが、それは1年2年でできることではないので」

――松山市中心部にできるのは確かに理想である一方で、「それを観客動員が伸びない言い訳にしている」と言う方もいらっしゃいます。

亀井社長「そういうご意見も伺っています。ただ、ニンジニアスタジアムでのこれまでの最高入場者数はスポンサーさんなどに色々な形でお願いした形での12,851人(2009年9月13日・J2第39節の徳島戦)ですが、正直交通アクセスが整っていない現状ではアベレージ5,000人が限界。まずは有料入場者数で5,000人に乗せて、県が動いてくれるきっかけを作っていきたいです」

■「レディース」「アカデミー」をいかに活用するか

――トップチームばかりではなく、昨シーズンは愛媛FCレディースもスタートし、いきなり「なでしこチャレンジリーグ」(2部)への昇格を果たしました。レディースによるクラブのアピールについてはどのようにお考えですか?

亀井社長「2009年4月に愛媛女子短期大学(今年4月より環太平洋大学短期大学部に改称)サッカー部に指導者派遣をはじめてから、ここまでは順調に計画通りステップアップしています。こちらも『なでしこリーグ』目指して頑張っていきたい。

また、Jリーグの客層はスタジアムの半径10km以内が多いと言われていますし、年齢層にも30代、40代が多いといわれていますが、レディースがスポーツに取り組んでいる姿を見て、一緒に応援してくれる方が増えてくれれば、クラブとしても新たな集客効果が上がってくると考えていますので、コンテンツとしてうまくリンクさせていきたいと思います。

さらに、昨シーズンはユースが高円宮杯U-18サッカーリーグ・プレミアリーグWESTで戦いました(7勝3分8敗、勝ち点24。10チーム中7位で今シーズンもプレミア残留)し、近藤貫太(慶應義塾大進学予定)がU-18日本代表に選出されました。こういったアカデミーを中心とした子どもたちの育成も大事なところだと考えています。
スクール生は現在約450人いますが、これも600人に。ゆくゆくはジュニアユースも宇和島などに設置して、競争の中でベストな人材がユースに上がる形にしていきたいです。もちろん採算面でのことも考えなくてはいけませんが、ここを強化していきたいですね」