橋下市長が退職金の更なる減額方針を示した。

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橋下徹大阪市長が、退職金を629万円へ減額する方針を明らかにした。すでに3953万円(1万円未満切り捨て、以下同)だった退職金を半額にする条例案を提出、成立させていたが、今回さらに68%を減額させたい考えだ。

関連条例が可決されれば、元々の3953万円を84%カットする計算になる。ところで、市長の退職金は、ほかの政令指定都市ではいくらなのだろうか。中には、特例的に「ゼロ」の自治体もある。

市長退職金が知事より高いのは「あり得ない」

さらなる減額方針は、橋下市長が2012年2月1日、報道陣に語った。大阪府の松井一郎知事が、府の審議会の答申を受け、規定では4100万円超の退職金を85%カットし、629万円に減額する条例案を提出することを受けたものだ。

橋下市長は、府民代表の知事より大阪市長の方が退職金が高いことは「あり得ない」として、知事の退職金額に合わせる形で再度の減額に踏み切る考えを示した。府知事時代の橋下氏は、自身の任期に限定して退職金を規定額の半額にしていた。今は規定額に戻っている形だ。

政令指定都市では、市長の退職金(4年の任期を満了した場合の1期分)はいくらなのか。総務省の2011年4月1日現在調べの数字によると、規定額で最多は大阪市の4430万円だ。

大阪市は、橋下市長誕生の直前の11年秋に11%減額し、先の「3953万円」にしたばかりだった。

規定額では次に、名古屋市の4224万円、神戸市の4196万円などが続くが、実際には、名古屋市の河村たかし市長は、特例条例を可決させ、「ゼロ(不支給)」としている。

11年4月1日時点で、特例として「ゼロ」になっている市は、堺市など4市ある。ほかに、特例的に規定額の半額にしているところも千葉市など2市。もっとも、現在では、公約で「1期目の退職金は受け取らない」とした市長が2期目に入り、元の規定額に戻ったところもある。

総理大臣は4年で524万円

規定額と「ゼロなどの特例条例を計算に入れた額」のそれぞれの指定都市平均(11年4月1日現在、19市)は、規定額平均が3493万円で、「特例」額平均は2649万円だ。

橋下市長がめざす「629万円」は、「ゼロ」を別にすれば際だって低い金額ということになる。

ちなみに東京都知事の場合は4302万円で、総理大臣が仮に4年(以上5年未満)務めた場合の退職金は約524万だ。

退職金「ゼロ」派の河村・名古屋市長は、退職金について2009年の市長選期間中、「会社に勤めて4年で退職金くれと言ったらどうなると思う?たわけかと言われとるよ」と何度も強調していた。

一方、前横浜市長の中田宏氏は、近著「政治家の殺し方」の中で、「退職金叩き」について、慎重な見方を示している。「一見、溜飲が下がるだろうが」としつつ、民間から優秀な人材が首長など政治の世界に入る妨げになりかねないとの視点から、給与や退職金は「トータルで考える」必要があると主張している。

橋下氏の退職金減額方針のニュースについて、ツイッター上をみてみると、

「今までの市長はこんなに貰ってたんか!」「(増税議論の前に)まず自分の身を削る事ができるのは評価できる」

などと、概ね好評なようだ。