目や鼻の造形を美しくする整形手術が、女性たちの間で人気を集めている。メイクでは気になる部分を表面的にしかカバーできないが、整形手術なら根本から変えることができる。だが美しくなるためとは言っても手術は手術。当然のように手術にはリスクが伴い、まれに重大事故も起きる。

最近は整形大国として注目を集める韓国でも、数年前に「釜山整形外科連続死亡事故」という恐ろしい事件が起きている。

韓国メディア「ノーカットニュース」によると、事件は2009年、釜山のある美容整形外科で発生した。1人目の犠牲者は20代の女性。9月9日に手術を受けたが、それから3日後に死亡した。15日には、脂肪吸引を行った50代の女性が重い敗血症を引き起こして生死の境をさまよい、翌16日にはやはり脂肪吸引の手術を受けた女性が死亡した。

事件は大きな波紋を呼び、警察は問題の病院の捜査を開始。同時に、院長A氏を相手取った裁判も行われた。だが、被害者3人のうち、2人は和解金を受け取り訴訟を取りやめ、今も法廷で戦うのは16日に死亡した女性の遺族だけとなった。警察による捜査も、病院側の過失を認める十分な証拠を確保することができず、長期間に及んでいた。

そんな中、19日に開かれた公判で、病院側の過失を裏付ける新たな発言が飛び出した。当時、看護婦だった女性が、使用後は必ず破棄しなければならない麻酔剤を冷凍庫に入れ、再利用していたと証言したのだ。さらに、「病院の室長からこのことを外部に知らせてはいけないと言われた」と口止めされていたことも明かした。麻酔が保管されていた冷凍庫は、1年に1〜2度程度しか掃除しておらず、衛生面に問題があったことも分かった。

警察と検察は、被害者らが同じ細菌に感染していたことを把握しながらも、問題の病院が感染源だと立証できずにいた。元看護婦の証言は、感染源が再利用された麻酔剤だと特定できる重要なものとなった。

しかし院長A氏側の担当弁護士は、「(再利用の事実があると言っただけで)亡くなった患者に再利用した麻酔剤を使用したとは証言していない」「当時の医師は、麻酔剤の再利用について看護助士に何の指示もしていない」と反発した。

当然、遺族側はこれに納得できず、「病院が雇用した看護助士が医師の指示無く麻酔剤を再利用する理由はない」と反論。「第一の被害者が出た時点で病院や警察が異常に気付けば、追加の被害者は出なかったはずだ」と悔しさをにじませた。

韓国の現行法では、300床以上の大型病院は感染管理の対象になるが、中小の病院はこれに当てはまらず、病院で医療事故が起きても保険当局が調査や営業停止を行いない状態だ。最近は100床以上の病院の感染管理を強化する医療法改定案が提出されたが、医療界からは反発が起きているという。

参照:○○整形外科、患者が連続死亡した理由は… - ノーカットニュース

(文:林由美)

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