グローバル化を生き抜くビジネスパーソンの条件

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 経済や労働力のグローバル化は、ビジネスパーソンに求められる資質や企業のあり方にも変化を与えます。日本国内のシェア争いに海外企業が参入し、反対に日本の企業が海外に出て外国企業と競うことは、今後ますます増えるでしょう。当然、労働者側も、優秀でハングリーな外国人と切磋琢磨しながら働いていくことになります。
 『世界で勝負する仕事術』(幻冬舎/刊)の著者であり、東京大学大学院の准教授である竹内健氏は、東芝でフラッシュメモリの開発に携わり、文字通り世界中の企業との競争を経験してきました。
 本書で竹内氏は、自らが経験した開発競争の様子をつづっていますが、それはまさに「毎日が世界一決定戦」の世界です。

■今日の友でも明日は敵
 成功する企業はみな貪欲で、常に激しい戦いの渦中にいます。故スティーブ・ジョブズの感性を前面に押し出し、スマートな企業に見えるアップルでさえ例外ではありません。iPodなどの製品に使用するフラッシュメモリを少しでも安く買うために、東芝や三星電子など複数のメーカーを競わせる、重要だと判断した製品は、メーカーからキーパーソンを引き抜き、購買や製品仕様の交渉を優位にすすめるなど、舞台裏では泥臭い攻防が繰り広げられていると、竹内氏はいいます。

■他社との競争はラットレース
 世界的な開発競争では、今の勝者が次世代の製品で負けてしまうことは珍しいことではなく、製品の世代ごとに勝者が入れ替わることもしばしば。
 フラッシュメモリ開発における東芝での竹内氏の任務は、この競争に勝つために、競争相手よりもコストや消費電力が低く、なおかつ高い性能を持つ新製品を可能な限り早く開発することでした。早く開発すればするだけ先行者利益につながり、競争を優位に運べるからです。
 竹内氏が本書の中で「ラットレース」と呼んでいるように、開発競争は終わりのない戦いです。これは、フラッシュメモリ開発に限らず、多くの業界で行われていること。もちろん日本国内においても製品やサービスの競争は存在しますが、グローバル化によってその競争は格段に厳しくなることは覚悟しておくべきです。

■顧客の要望に応えるだけでは発想が行き詰まる
 商品開発において、顧客がどんな製品を求めているかを知ることは重要ですが、それだけを考えていてはいいアイデアが浮かびません。たとえば市場調査をして、消費者はどんな製品を求めているかを調べたとしても、消費者の視点は既存の製品の範囲・延長上にしかないからです。
 顧客や消費者の意見は取り入れつつも、その業界や領域全体を見渡す「俯瞰的な視点」を持つことで発想が自由になると竹内氏はいいます。また、広い視野を持つことで、まだ誰もいない領域、つまり新しいビジネスとなる分野を見つけやすくなります。

■先が読めない時代をタフに生き抜くために
 変化が激しく、将来を予想しにくいグローバル時代を生き抜くためには、環境が変わっても生き残れる適応力や精神力が重要になってきます。竹内氏はそれらを身につけるために、できるだけ若いころから競争が激しく、変化が多い業界で鍛えられていた方がいいと言います。
 競争の連続は確かに厳しいものですが、常に高いモチベーションで働くことができます。実際、本書で綴られている竹内氏の経験談からは厳しさだけでなく、むしろ競争の毎日にやりがいを感じながらいきいきと戦い抜いてきたことがうかがえます。
 「現場」にいた人だからこそ書けるエピソードとアドバイスがふんだんに盛り込まれた本書は、これからますます進むグローバル化を前に一読しておくべき一冊だといえます。
(新刊JP編集部)


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