「値引きできないから売れない」と嘆く営業マンはネット通販に置き換えられる

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はじめに断言します。ネット通販全盛の現在、リアル営業で安売りを続ける営業マンは生き残れません。「不景気だから値引きしなければ売れない」と主張する人は、まっさきにリストラ候補に上がってしまうでしょう。

価格の競争になってしまっては、大量仕入れ・大量販売、徹底したコストカットの上に成り立つネット通販には到底かないません。そこでクビにならない営業のあり方について、いま勢いのある他の業界の例を基に考えてみます。

「エブリデー・ロープライス」の行く先は給与カット

スーパーマーケットで昨今浸透しつつある「エブリデー・ロープライス」(Every Day Low Price=EDLP)戦略。「目玉商品」を折り込みチラシで知らせて従来の集客方法ではなく、目玉はなくともおしなべてどの商品も常に一定水準以下の価格を実現するという、究極の低価格戦略です。

米ウォルマートが始めたこの手法の裏には、「チラシの廃止」や「特売廃止」といった徹底したコストカットがあります。日常的低価格戦略であるEDLPは、「エブリデー・ローコスト」(Every Day Low Cost=EDLC)が支えているのです。ネット販売のEDLPにも、バーチャル営業やオペレーションの自動化によるコストカットの裏付けがあります。

一方、値引きでクロージングしたがる安売り営業マンには、構造的なコストカットの裏づけがありません。言ってみれば「勝手にEDLP戦略」の体現者。これを不景気だから仕方ないと考えていると、本人の命取りになります。

なぜなら経営は「勝手なEDLP営業を続けるのであれば、EDLCも一緒に実現すべきだ」と考えるからです。つまり待っているのは給与カット、さらには解雇。安売り営業の行く末に未来はないのです。

では、安売りせずにどう生き残るのか。企業コンサルタント野口吉昭氏の近作『「ありがとう」が人と会社を幸せにする』には、EDLPの嵐が吹き荒れるスーパー業界でも、安売りの波に呑まれずしっかり顧客をつかんでいるお店が紹介されていました。

そのお店とは、京急グループの「もとまちUNION」。横浜の本店のほか、鎌倉、葉山や新宿、六本木など8つの支店を広げています。同店は、こだわりの品ぞろえがモットー。とにかく素材もデリカも鮮度、品質、品ぞろえが半端じゃありません。価格は高くとも売れる理由がそこにあります。

ここから学ぶ営業のヒントは、対象とする顧客(このスーパーでいえば富裕層の住む立地)の選定と、同業他社にはない自社の「価格以外の強み」を徹底的に追求して売り込むことです。

同じモノでも「ここから買いたい」と思わせる方法

安売りをせずに顧客をつかんでいる例が、家電販売業界にもあります。

昭和30年代後半から40年代、電気洗濯機や電気冷蔵庫、カラーテレビが初めてわが家に来たとき、すべて同じ商店街の電気屋さんから購入した記憶があります。

その後は大きく変わって、もっぱら家電量販店。さらに最近では、モノによってはネット通販でも購入します。理由は簡単。どこで買っても同じモノなら、価格のより安いところで買いたいと思うからです。

ところが、東京・町田市にある「でんかのヤマグチ」は、メーカー販売店を生業とする町の電気屋さんでありながら、東京商工会議所の「勇気ある経営大賞特別賞」を受賞するほど利益率が高く、素晴らしく元気な経営をしているとか。これも野口氏の先の本に出ていたエピソードです。

同社のしていることは、即日配達・即日修理や、修理期間中の代替家電貸出など「かゆいところに手が届くサービス」。蛍光灯1本から受け付ける取り替えサービスや、海外を含めた全メーカーの修理も行っています。ネットや量販店では、ここまではできません。

このようにして顧客から支持を得て、価格競争に巻き込まれることなく高い利益率を続けているというのです。ここから学ぶ営業のヒントは、どこで買っても同じモノでも「ここから買いたい」と思わせること。そのために、同業他社がやらない顧客から喜ばれるサービスを徹底して探り出し実現することです。

物を安く売ることばかりに目を奪われて、見失っている大切なサービスが必ずあるはずです。他社がやらないことにはチャンスがあふれています。多少面倒くさくとも、手を伸ばせばネット時代を生き残る営業ノウハウに出会えると考え、ぜひ足元を見直してもらいたいと思います。

※営業を中心としたお仕事の悩みについて、筆者がお答えします。

大関 暁夫