グランドスラムのセンターコート――。そこはテニス選手なら、誰もが憧れる夢のステージだ。しかも、対戦相手の地位や人気により与えられた、幸運の産物ではない。4つの重き扉(勝利)をこじ開け、自らの実力の対価としてつかみ取った、大舞台に立つ権利である。

 だが、錦織圭は「センターコートというのは、別に意識していなかった」と、試合後にさらりという。日に焼け、精悍さを増した相貌(そうぼう)からうかがえる感情は、全身を満たす大きな悔しさ、そして幾分かの安堵感。「自分のプレイも悪くなかったが、メンタルもフィジカルも、このレベルで勝つにはまだまだ足りないと改めて感じた」という言葉に、誇張や負け惜しみの色はない。

 スコアは、3−6、3−6、1−6。新たな歴史を次々と切り拓いた全豪オープンにおける旅路は、準々決勝でのアンディ・マリー戦で、一端の終着を迎えた。

「マリーは、お手本としている選手」。昨年末ごろから錦織は、幾度かそのように明言してきた。現在世界ランキング4位のスコットランド人は、力で相手をねじ伏せるのではなく、安定したラリーと硬い守備を軸に、硬軟自在の攻撃でポイントを奪うタイプの選手。「今の自分に近いテニス。学ぶところがたくさんある」というほどに、錦織が志すテニスの体現者でもある。

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