東京電力の電気は買わない!  東京23区のうち19区がPPSからの購入を実施・検討

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東京都内の多くの自治体が、使用する電力を特定規模電気事業者(PPS)から購入しようとしている。2012年1月29日付の東京新聞によると、すでに「首都圏では都県や政令市、多摩地区で競争入札などが導入され、経費削減効果をあげている」中で、東京電力の値上げを受けて、PPSからの電力購入を「東京23区では19区が実施・検討している」という。

23区のうち、すでに実施しているのは渋谷区。実施を予定しているのは、新宿区と台東区、目黒区、世田谷区、豊島区、足立区の6区。実施を検討していないのは、文京区と墨田区、板橋区の3区。それ以外の区は、実施を検討している。


ただし、「PPSは電力会社に比べて供給能力が大幅に低い上、事業者数も49社にとどま」るため、自治体からの需要にPPSが答えられるかどうかが今後の課題となっている。原発事故の要因のひとつは、首都圏における電力利権が東電にほぼ一局集中していたこともあげられる。「原子力発電所は安全です」という根拠のないキャッチコピーは競争のない、やりたい放題の寡占状況から生み出されたといってもよい。

原発事故のあと、城南信用金庫がいち早く脱原発宣言をおこない、自社の使用電力を全面的にPPSへと切り換えた。自治体による東電からPPSへの乗り換えが、同金庫のような「思想」に裏打ちされたものかどうかはわからない。しかし、結果的には東電への電力依存を少なくすることにより、原発事故を起こした東電の責任を問うことになってはいると思う。


一方、同日付の京都新聞によると、滋賀県の嘉田由紀子知事が「段階的に原発をなくす『卒原発』に向けた発言を積極化している」そうだ。滋賀県には原発がないものの、隣の福井県の美浜原発と大飯原発の30km圏内には滋賀県の北部が含まれる。よって、関西電力との安全協定の権限内容に関しては、「琵琶湖を抱える滋賀県としては関西全体に対する責任があり、(原発の)立地自治体波を求めたい」としている。

また、「2012年度に再生エネルギー戦略を策定し、県独自に民間の再生エネルギー導入支援に乗りだすことも表明している」。これに対する滋賀経済団体連合会の会長のコメントが笑える。「大きな方向として原発依存体質を変える努力は必要だが、(大規模停電などで)電力が途絶えれば経済も止まる。関電は電力供給の使命を果たすため、安全体制が整えば堂々と原発を再稼働するべきだ」。


このコメントは、ふたつの意味でおかしい。安全体制が整うということは、福島第1原発で起きた事故を想定し、それを完全に防ぐだけの技術が開発され、地震があろうが津波があろうが原発事故を起きなくさせるということだ。だが、現時点ではそんな体制が整っておらず、今後も整う見込みがないというのが実状なのではないか。

それより問題なのは、「電力が途絶えれば経済も止まる」などと、経済至上主義のごとき発言を堂々としていることだ。それは逆である。電力の供給源である原発が事故を起こせば、経済を支えるべき人々の生活が破壊され、経済が止まるのである。そのことは、すでに福島第1原発の事故で実証された。「電力が途絶え」ることを強調し、その手前にある電力の供給源としての原発が事故を起こす可能性に触れないこのコメントは、俗にいう詭弁というものであろう。


原発事故から10カ月が経過したものの、福島第1原発の事故は収束にはほど遠い状態である。しかし、メディアの原発に対する関心は、日々薄まっているように感じる。新聞の中で、いまだ精力的に原発問題を取り上げているのは、東京新聞のみであるように見うけられる。同じことを繰り返さないための、もっとも効果的な手段は、忘れないことである。

筆者は、今後も原発問題を脱原発の立場で取り上げつづけていこうと思う。どんなに小さな記事であれ、書きつづけることが忘れないことにつながると考えているから。


(谷川 茂)