経済学で「禁煙」してみませんか?

写真拡大

 日々、喫煙者に対する風当たりは強くなっている。寒さが厳しい日でも屋外喫煙スペースなどはいつでも人だかりが絶えない。タバコを吸わない人にとって、それはなんとも異様な光景に見えるだろう。「なんでそこまでしてタバコを吸いたいんだ」と思う人も多いのではないだろうか。
 そんな喫煙という行為と喫煙者の特異な実態を健康経済学の視点から考察した一冊がある。それが、『喫煙と禁煙の健康経済学−タバコが明かす人間の本性』(荒井一博/著、中央公論新社/刊)だ。

 健康経済学とは、一般には耳慣れないジャンルの経済学かもしれないが、実に興味深い内容だ。データと数字で表される喫煙者の実態とは? 喫煙者のメリットとデメリットとは? 禁煙広告はどのような効果があるのか? 税率を上げると喫煙者は減るのか? ……等々、学術的に興味深い論証が多く盛り込まれている。
 例えば、「喫煙者が増税をどう捉えているか」ということを論じている部分。
 喫煙者にとって増税=タバコの値段が上がることは死活問題に思える。しかし、実際は増税に反対する喫煙者のほうが少ないというデータが出ているのだ。
 私見ではあるが、身の回りにいる喫煙者に増税についての話をすると、仕方がない、という意見を多く聞き、絶対反対、と声を荒げる人はほとんどお目にかからない。自分の不利益になる増税を受け入れてしまうとは、なんとも不思議な心理だ。
 これは、喫煙者の中でも、心のどこかで禁煙を望んでいる人間に表れる現象だ。喫煙による金銭的・心理的費用を、外的な喫煙規制手段として利用するのだ。他にも「クラシック愛好家には喫煙者が少ない」「結婚すると禁煙動機が高まる」など、一見すると因果関係がわかりづらい論旨を経済学を使ってわかりやすく紐解いていく。

 様々なデータを数字で俯瞰すると、喫煙という行為を現実的な視点から見つめ直さざるを得なくなる。
 そして、本書の最後には著者自身の禁煙体験とオススメの禁煙方法が語られている。年始めに禁煙を誓って、早々に挫折している人も、これから禁煙しようと考えている人も、これをきっかけに禁煙を試みるのもいいかもしれない。
(ライター/石橋遊)



【関連記事】 元記事はこちら
日本の“タバコ規制”は遅れている?
禁煙が最も成功しやすいタイミング
長生きするための7つの習慣
出荷停止で電子タバコ売上増