ニュースの教室:1限目「ミスの抱え方」

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ビジネスの現場には小難しいだけのビジネス理論も、煽るだけの自己啓発本もいりません。ニュースが教えてくれることに耳を傾ければ、人の仕事が見えてきます。
日々の出来事からビジネスに活きるヒントを見つけ出す連載コラム「ニュースの教室」。
1限目となる今回は「ミスの抱え方」。
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不注意が引き起こすニュースを目にするたびに、
胸が締めつけられる。

●広島刑務所から受刑者が3日間にわたって逃走したケースでは、
1.脱走した容疑者には逃走歴があったのに所内で注意の指示がなかった。
2.高さ約7メートルの管理棟の屋根は越えられる条件が整っていた。
3.外塀などの防犯装置が作動しなかった。
4.外部への逃走の可能性が低いと判断して警察への通報が遅れた。

●大学入試センター試験の問題配布ミスや試験時間の繰り下げトラブルでは、
1.社会科目の選択方式が変わったのに配布方法で試験官の足並みがそろわなかった。
2.センターは当初配布ミスを10会場512人としたが実際は81会場3462人だった。
3.センターは当初このミスを大学にも責任があるとした。
4.しかし大学の反発で一転、センターの周知が徹底していなかったことを認めた。

●福島第一原発の原子炉データを送信する機器の非常用電源が、
事故までの4ヶ月間未接続のままだった。

このため放射能物資の拡散予測システムが活用できなかった。
原子炉の温度や周辺の放射線量などを監視する「ERSS」と呼ばれるシステムは、国が155億円以上を投じて開発・運用してきたものだった。
だが肝心なときに働かなかった。このケースでは、
1.4カ月前の機器更新でケーブルの接続先を間違えた。
2.誤りに気づいたがERSSへの接続にはケーブルが短かったのでそのまま放置した。

どのミスや不注意も後から考えれば単純な原因ばかりだ。
なぜそんな簡単なことに気が回らなかったのだろうか。
ミスを起こしたあとになぜ誤判断や鈍い反応しか示せなかったのだろうか。

そう思う一方で自分が当事者でも同じことが起こりそうで胸が締めつけられる。
あらゆるミスの原因は人間だ。
ミスは緊張が過ぎても気がゆるんでも起きる。
痛い目にあっても時間がたてばまた起こす。

ではミスを最小化するにはどうすれば良いのだろうか。
1.仕事や役割に精通したい。精通すると異変に気づく。
2.仕事や役割が及ぼす先の先の先を想像したい。想像がミスをカバーしてくれる。
3.ミスを責めずミスの構造を掴みたい。誰の中にもあるミスの構造を開示するのだ。
4.次の一手に注力する。ミスの当事者もそうでない人も同じ立場で。
5.ミスをしたら甚大な被害を及ぼす事態を、考えもなく選択しないようにしたい。

誰もがミスをする。
だから誰もがミスの抱え方を考えておきたい。
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文●楢木望
ライフマネジメント研究所所長/ビジネスエッセイスト
『月刊就職ジャーナル』編集長、『月刊海外旅行情報』編集長を歴任。その後、ライフマネジメント研究所を設立、所長に就任。採用・教育コンサルタント、就職コンサルタント、経営コンサルタント。著書に『内定したら読む本』など。