最後の最後まで、心憎いまでに冷静だった。

 互いの顔がはっきり見える距離で繰り広げられる、ネット際のめまぐるしい攻防。その中で錦織圭は、相手の動きを見極めると、バックハンドを軽く振りぬき、オープンコートにボールを打ち込んだ。1万人の観客が一斉に歓声を上げると同時に、ラケットをするりと手から落とすと、天を仰ぎ笑顔を見せる。これが、世界ランキング26位の錦織圭が、6位のジョー=ウィルフリード・ツォンガ(フランス)を、3時間30分のフルセットの末に破った瞬間であった。

 実は、この試合前から錦織に対しては、ある種の『フランス包囲網』が張られていた。3回戦で錦織に敗れたフランス人選手のジュリアン・ベネトーは、友人のツォンガに「錦織のバックハンドのクロスは脅威。フォアで積極的に攻め、早くポイントを決めるべきだ」とアドバイスを送ったという。

 はたして、その助言が功を奏したのだろうか、試合開始直後からツォンガのフォアハンドが炸裂した。錦織がバックサイドに打ち込んでも、ボールが少しでも浅くなると、ツォンガの破壊的な右腕が火を噴く。「最初は緊張もあり、気持ちが試合に入りこめなかった」という錦織を尻目に、サーブとフォアのみで11本のウィナーを奪ったツォンガが、第1セットを支配した。

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