アカデミー賞ノミネート結果に見る、作品またはキャストの明暗 写真:Press Association/アフロ

写真拡大

1月24日(火)、今年のアカデミー賞のノミネート結果が発表された。大方の予想通りのものもあれば、そうでないものもある。

おそらく最も驚いた作品賞のノミネートは、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(原題:Extremely Loud & Incredibly Close)』だろう。ジョナサン・サフラン・フォアの同名小説を原作に、スティーヴン・ダルドリー監督がメガホンを取ったこの作品は、911(2001年に起きた米同時多発テロ事件)で命を落とした父親が残した秘密を探ろうとする少年のドラマだ。この作品は批評家と観客それぞれの間でも賛否両論に分かれ、先日行なわれたゴールデン・グローブ賞では蚊帳の外に置かれてしまった。同作からは、マックス・フォン・シドーが助演男優賞にノミネートされている。

無冠の前に、そもそも門前払い状態なのがサスペンス・ドラマ『テイク・シェルター』。マイケル・シャノンが精神的な問題を抱える男を、『ツリー・オブ・ライフ』のジェシカ・チャスティンがその妻を演じているのだが、こちらもメジャーな賞からはシャットアウト状態。人気映画批評サイト<Rotten Tomatoes>では92%もの高い支持率を得ているのだが...。

チャスティンはその一方で、『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』で助演女優賞にノミネート。この作品はアメリカでロングランと好評だったが、監督のテイト・テイラーは監督賞と脚色賞のノミネートを逃している。チャスティンの出世作『ツリー・オブ・ライフ』は作品賞に、そしてメガホンを取ったテレンス・マリックは監督賞にそれぞれノミネートされた。

『JUNO/ジュノ』のジェイソン・ライトマン&ディアブロ・コディがタッグを組んだ、ダーク・コメディー『ヤング≒アダルト』も完全に締め出された。主演のシャーリーズ・セロンはゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、共演のパットン・オズワルトにはアカデミー賞助演男優賞へのノミネートが期待されていた。

ファンの期待通りだったのが、大ヒット・ブライダル・コメディー『Bridesmaids』の脚本賞(アニー・ムモーロ&中心人物の1人を演じたクリステン・ウィグ)と、イイ味を出していたメリッサ・マッカーシーの助演女優賞ノミネートだろう。『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のジャド・アパトーが製作を手がけた話題作だ。

『少年は残酷な弓を射る』で見せた熱演で、先日のゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞でノミネートされたティルダ・スウィントン。だが今回はノミネートされず。

ニコラス・ウィンディング・レフン監督&ライアン・ゴズリング主演の犯罪サスペンス・アクション『ドライヴ』も賞レースからはつまはじき状態に。同作の名優アルバート・ブルックスがノミネートを逃した一方で、批評家からは絶賛&観客からはそっぽを向かれたアクション映画『Warrior』のニック・ノルティが助演男優賞にノミネートされている。

最後はセス・ローゲン&ジョセフ・ゴードン=レヴィット共演の"ガン闘病"コメディー『50/50 フィフティ・フィフティ』。製作総指揮と脚本を担当したウィル・ライザーの実話をもとにした話題作だったのだが、アカデミー賞の主要部門でのノミネートはかなわなかった。