昨年末、巨大掲示板サイト『2ちゃんねる』のサーバー管理会社に強制捜査が入り、ネット上で大きな話題となった。理由は、『2ちゃんねる』内で“隠語”を使って薬物を売買していた人物が逮捕されたことによるものだという。

 ただ、このニュースに違和感を覚えた人も多いのではないだろうか。サイト管理会社が、情報開示という「協力」を警察に要請されるならともかく、「強制捜査」とは、まるで共犯者扱いだ。

 この点に関し、『2ちゃんねる』元管理人のひろゆき氏が、自身が登場している『週刊プレイボーイ』の連載コラムのなかで、「2ちゃんは譲渡しているし、詳しい話は知らないんですよ」と前置きしながらも、こう推測している。

「今回の強制捜査も『麻薬取引が行なわれていることを知りながらも放置してるんじゃないか』という話だと思うんです」

 はたして『2ちゃんねる』が犯罪行為を黙認していたかどうかは定かではない。だが、web2.0以降、ネットは情報を受け取るだけでなく、参加しコミュニケーションを取ることが一般的になっている。今後も、同様の問題は増え続ける一方だろう。仮に、SNS上で知り合った人たちが犯罪を犯した場合、そのSNSに管理責任は生じるのだろうか? ひろゆき氏はこう続ける。

「僕は、ネット上で悪いことをした人はガンガン逮捕したほうがいいと思いますけどね。ただ、そういう人をすべて逮捕するのが面倒くさいから、国は管理会社やコミュニティをなくすことで安全になったことにしたいんじゃないですか」

 過去にも、「犯罪を助長する」との理由で特定の漫画やゲームが規制されたことがある。今後、ネットの世界でも同様に、プラットフォームを規制することで問題を解決しようとする動きになるのだろうか。

「EC(電子取引)サイトとか、コミュニケーションをしないものであれば問題ないと思うけど、コミュニケーションを行なうサイトであれば、同じような問題が発生しますよね。で、それを取り締まるわけだから、コミュニティ系のサイトの運営は日本ではできなくなるんじゃないですか。ほら、ツイッターもフェイスブックも海外のサービスだし。IT産業をやりたかったら日本ではなく海外でってことになりますね」(ひろゆき氏)

 飄々(ひょうひょう)と語るひろゆき氏。有能な人材が海外へ流出すれば、それは日本のIT産業の衰退にもつながる。日本はまだまだIT後進国から抜け出せないようだ。

(構成/杉原光徳)

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