我々の記憶に残る女優がいる。絶世の美貌、妖艶な色香、鬼気迫る演技‥‥名女優たちは皆、「女優力」を兼ね備えていた。事務所のパワーやスポンサーの思惑でニセモノ女優がはびこる昨今、あらためてオトコ心をわしづかみする真の女優は誰なのか徹底調査した。



 時代を超えて語り継がれる女優がいる。本誌恒例の1000人アンケートで、世の男性たちが「思いを馳せる」女優ベスト30を明らかにしよう。



 数ある現役女優を差し置いて“ナンバーワン”に輝いたのが、1985年に病に倒れ、この世を去った夏目雅子(享年27)だった。没後四半世紀以上が経過してもなお、色あせない普遍性もさることながら「美しさ」(宮城県・45歳)、「かわいさ」(東京都・40歳)、「明るさ」(東京都・50歳)といった女優に必要とされる華やかな雰囲気を理由にあげる。

 他には「存在感」(埼玉県・42 歳)と答えたコメントが数多く見られた。「瀬戸内少年野球団」の先生役の華やかなイメージと、五社英雄監督作品で魅せた“女の情念”に象徴されるド迫力も多くの男性の印象に残っているのだろう。

 彼女の魅力を放送評論家の松尾羊一氏が語る。

「タレントが女優を演じる今の時代と違って、彼女にはミステリアスなスターのオーラを感じるのでしょう。そして何より若くして亡くなっています。彼女を知る年代にとって、夏目雅子はもはや神話の領域に入る女優なんです。」

 生前、夏目雅子のドキュメンタリー番組の制作に関わったという碓井広義上智大学教授(メディア論)も類いまれな「集中力」をあげる。

「昔、彼女の作品を手がけた監督にインタビューをしたことがあります。そうしたら皆、口をそろえて『夏目雅子は俺が育てた』と言っていた。それほど一作一作、彼女は全力で作品に取り組んでいた。その迫力みたいなものが、今でも映像から伝わってくるんです」

 もはや伝説と化した名女優に対して、現役女優の意地を見せたのが、第2位に選ばれた常盤貴子(39)だった。90年代からドラマを中心に活躍し、00年にキムタクと共演した「ビューティフルライフ」(TBS系)では最高視聴率41・3%を記録した。最近では09年のNHK大河ドラマ「天地人」や松下幸之助の妻を演じた「神様の女房」(NHK)でも実力派女優としての貫録を見せつけた。

 前出・松尾氏によれば、

「最近のドラマは群像劇ばかりですが、常盤貴子はひたむきな愛のドラマの主役を演じることができる数少ない女優の一人。そのあたりが40代以上の男性の記憶に残っていたのかもしれません」

 若手女優に目を移せば、どこか小悪魔的な魅力を放つ北川景子(25)が3位にランクインした。ここ数年フジテレビの月9をはじめ、話題作に数多く出演。

「神秘的なキレイさ」(神奈川県・56歳)、「表情がかわいい」(大阪府・44歳)といったコメントが数多く寄せられている。

「ホームページにスッピンを公開するなど、彼女には女優としての覚悟のようなものを感じます。将来が楽しみですね」(松尾氏)

 今や「2年後までのスケジュールが埋まっている」と言われるほどの人気を誇る綾瀬はるか(26)は第4位という結果に。

 若手ナンバーワンと言われる演技力もさることながら、「性格がかわいらしく癒やされる」(和歌山県・53歳)といった「天然系のキャラクター」が人気の要因のようだ。

 前出・松尾氏は、

「決して美人じゃないけど、危なっかしいところが往年の女優さんの残り香のようなものを感じさせる」

 最近の彼女の活躍を考えれば、もっと上位でもおかしくないと思っている諸氏も多いに違いない。