大相撲初場所はエストニア出身の大関把瑠都が初優勝を飾り、幕を閉じた。

 把瑠都は199センチ、188キロの巨体と並はずれたパワーを持つ。これまではその強味を生かしきれていなかったが、優勝という実績を残したことが自信となり、強さは一段と増すだろう。3月の春場所で優勝すれば「2場所連続優勝」という横綱昇進基準を満たすし、ひとり勝ち状態だった横綱白鵬に強力なライバルが台頭したことにもなる。勝負への興味は増すわけだ。

 おまけに把瑠都は「角界のデカプリオ」といわれるように笑うと可愛らしいルックスと茶目っ気があって誰からも親しまれる性格の持ち主。ファンの心をつかむ条件を満たしている。このところ相撲界は暴行事件、大麻問題、八百長発覚と不祥事続きでファン離れが進んでいたが、把瑠都の活躍は人気回復のきっかけにもなるだろう。相撲界は大喜びのはずだ。

 ところが場所後、横綱昇進の決定権を持つ横綱審議委員会から把瑠都に対して厳しい意見が出た。要約すると「2場所連続優勝したとしても横綱を狙う資格はない。品格を欠くようでは横綱には推薦できない」というわけである。

 品格を欠くと指摘されたのは12日目の稀勢の里戦だ。この時把瑠都は11戦全勝、稀勢の里は9勝2敗。この結果次第では1敗だった白鳳との優勝争いがもつれる展開になり面白くなる。またそれ以上に欧州と日本を代表する大器同士の対戦としてファンの誰もが熱戦を期待した。ところが、把瑠都は立ち会いに変化して稀勢の里をはたき込んだのだ。その直後、国技館は静まり、期待を裏切られた観客からは把瑠都に対して“帰れコール”が起きるという異常な事態になった。

 この取組を境に場所がシラけたことは確かである。前半戦は理想的な展開だった。大関2場所目の琴奨菊を除いて横綱・大関陣は揃って好調で白星を重ねていった。実力のある上位陣が順当に勝って優勝争いをすることを大相撲ファンの多くが望んでいる。その通りの展開になっていたのだ。また総じて立ち会いの変化も少なく、力のこもった相撲が多かった。


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