80型液晶テレビが4700ドル程度で販売されているアメリカの販売店
日本の一般家庭のテレビは、放送のデジタル化の影響で2011年までにほとんどの家庭で液晶などのフラットパネルディスプレイに移行した。そんな日本に比べると、アメリカのフラットパネルディスプレイへの移行は遅れている。

日本ではデジタル化のために、まだ使えるブラウン管などのテレビを買い換える動きが2011年夏までにあった。この影響で需要が激減することが予想されている。

アメリカ市場でも一般の家電量販店では液晶テレビなどが販売されているが、ケーブルテレビが一般的に普及しているアメリカでは、日本のように買い換え需要が一斉におきるようなことはない。

正確なデータではないが、CESに合わせて、アメリカの一般家庭を何件か回った限りでは、液晶テレビなどの普及率は2割程度だ。

■テレビだけではない買い換えの出費
最近では日本でも一家に複数台のテレビがあるのも珍しくないが、アメリカの場合はそれ以上で一家に4、5台のテレビがある。サイズはキッチンなどに置く小型のテレビを除けば、ブラウン管の30型台などが多く、液晶テレビに買い換える場合、最低でも42型や47型にしないと見劣りしてしまう。

現在、アメリカの一般量販店ではこのサイズのテレビは600ドル前後から(2012年1月現在5万円弱)で、日本と比較するとかなりお買い得に感じる。しかし、テレビの買い換えに関する出費はテレビ本体だけに収まらない。

アメリカでリビングなどに置くテレビは、壁一面のインテリアとしてテレビ台兼用の家具と一緒に配置されており、この家具も買い換える必要がある。これも安くは無く通常数万円からの出費となるため、テレビの価格に加えてこれらの家具も買い換える必要がある。

現在、アメリカ市場で売れ筋になりつつあるのが55型などの50型台のサイズで、2012年1月現在、安い物なら55型で900ドル程度から(7万円強)となっている。

当然ながらより高画質なテレビなどはさらに価格も高くなるが、家具と合わせても10万円程度から今まで使用していたブラウン管から見劣りしないサイズの液晶テレビを購入できるようになっている。

■そろそろ液晶テレビの買い換えだが、そこにスマートTVが来るのか?
ブラウン管テレビの販売は2000年台前半で収束していったため、そろそろ液晶テレビの買い換えが本格化していくだろう。

これから10年程度かけて液晶テレビなどへの買い換えの動きが出てくるだろうが、スマートTVがそこに入ってくるかどうかは微妙なところだ。

買い換えに10年単位の時間がかかるテレビにスマートTV機能のような付加価値をつけても、普及までには時間がかかりすぎる。

日本でも同じで、2011年に購入した液晶テレビを買い換えようと思うようになるまでには、少なくとも5年以上後の2016年以降になってからだろう。

よほどすごい機能が搭載されれば別だが、テレビ自体に内蔵されたスマートTV機能よりも、ケーブルテレビのチューナーのセット・トップ・ボックス(STB)にスマートTV的な機能を入れ、テレビ自体はモニターとして使用するのが本命では無かろうか。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。


デジ通の記事をもっと見る
オンライン海賊行為防止法(SOPA)はすでに実施されている
競争激しいiPhoneケース 付加価値をつけた製品が多数登場
英語版Wikipediaが抗議した法案とは?
格安プリンタでも品質は十分!プリントサービスとのコスト差は?

【キヤノン純正インク】キャノンインクタンク 5色マルチパック BCI-321+320/5MP【キヤノン純正インク】キャノンインクタンク 5色マルチパック BCI-321+320/5MP
キヤノン
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る