昨年末から、関東・東海地方の海岸にクジラが漂着する事件が続発している。
・12月26日 神奈川県小田原市 マッコウクジラ
・12月27日 静岡県河津町 ザトウクジラ
・1月2日 小田原市 ザトウクジラ
・1月8日 千葉港 子クジラ(種類不明)
・1月10日 東京湾・青梅埠頭 ナガスクジラ
・1月14日 北茨城市 マッコウクジラ

 海洋環境学者の辻維周氏(私立滋慶学園講師)は、東京湾最奥部の青海埠頭付近にまで大型のナガスクジラが来た例は、過去にないことだと驚く。

「江戸時代には、東京湾でも主に中型のツチクジラ捕鯨が行なわれていましたが、その海域は富津岬から南の浦賀水道にあたる外湾部でした。この季節、大型のナガスクジラは小笠原諸島付近などの温かい海で繁殖行動をします。今回、あまりにも見当違いな場所に現れたことが研究者たちを驚かせているのです。死骸は船に衝突したらしく大きな傷を負っていたそうですが、これは船舶往来が過密な内湾部まで自力で泳いできたことを意味しています。賢い大人のクジラが危険な東京湾内を目指すはずはなく、完全に方向感覚を失った異常行動としかいえません」

 では、その原因は何なのだろうか?

「寄生虫による器官障害、船舶ソナーによる感覚マヒなど諸説ありますが、有力視されているのが“海底震源地震”との関係。大きな海底地震の発生直前に起きる“強い電磁波”が、クジラやイルカの方向感覚を狂わせ、パニック行動に走らせるという見方です」(前出・辻氏)

 通常、地震では、本震で地下岩盤内部の大破壊が起きる前に、細かなヒビ割れが生じる。辻氏が言う“強い電磁波”は、このヒビ割れが起きている間に発生することがわかっている。しかし、1月1日にも東京から約600km南の伊豆諸島・鳥島近海でM7の地震が起きており、今回のクジラたちの座礁はこの地震に反応したという意見もあるが……。

「これは震源約370kmの深発地震なので、はるか太平洋沖にいたナガスクジラを真北へ突進させるような影響力はなかったはず。となると、元日以降も続くクジラの異常行動は、もっと大きな海底地震の前ぶれである電磁波異常が原因だった可能性が高まります」(前出・辻氏)

 本来の生活圏から遠く離れた場所に打ち上げられたクジラたちの死骸は、いったい何を語りかけようとしているのか、疑問は深まるばかりだ。

(取材/有賀 訓)

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