時間が掛かっていたダルビッシュ有のテキサス・レンジャーズ移籍が17日、ようやく決定した。日本ハムはダルビッシュという絶対的エースを失うが、その穴は誰が埋めるのだろうか? “流しのブルペンキャッチャー”として知られるスポーツジャーナリストの安倍昌彦氏は、その穴を埋める存在として“あの人”の名前を挙げる。

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タフな交渉の末、総額6000万ドル(約46億円)という途方もない条件で、テキサス・レンジャーズに決まったダルビッシュ有。ファンにマユをひそめさせたり、また熱狂させたり。良くも悪しくも風雲巻き起こして異国に去ったダルビッシュ有。この大看板の穴はいったい誰が埋めるのかって、そりゃあ、あの斎藤佑樹以外にいないだろう。

ダルビッシュ有18勝6敗。斎藤佑樹6勝6敗。昨季のこの数字を、今季いきなり肩代わりできるとは思っていない。しかし、「今季12勝」、「来季18勝」。これから十分射程内と見ている。昨季の斎藤佑樹の投球。シーズン前半と後半で内容が一変した。

キーワードは「逆球」。前半の彼は、ストレートが右打者の頭の方向へ抜けていく、文字通りの「逆球」が目立った。しかし夏場からの斎藤佑樹は、捕手が外に構えても、わざと内角に投げて窮地を切り抜ける「技術」を見せてくれた。

打者が見えてきた証拠。相手の打者の性格とクセ、得意不得意が見えてきたから、自分で逆を突いていく。そっちの「逆球」が使えるようになっていた。洞察力で投げる彼のようなタイプ、相手が見えてきたらしめたもの。

大上段から豪快にねじ伏せてきた「先代」とはまるで「逆」のピッチングスタイルを持つ紅顔の後釜。こしゃくな!と、まなじり決して振りかかってくるプロの腕利きたちのバットを、スイッ、スイッとかいくぐる。まさに「逆球」が今季、日本ハムの危機の救世主となる。FAにポスティング・システム。次のステージへ飛翔する者たちを祝福をもって送り出したら、今度は球界の新しい「人材の循環」に心ときめかせることにしよう。

※週刊ポスト2012年2月3日号