1月13日、米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ユーロ圏9ヶ国の国債格付けを一斉に引き下げた。これについて、安住淳財務相が「明日は我が身」と述べるなど、日本も財政破綻への危機感を募らせている。

 もし財政破綻が現実化した場合、日本は現在の円高から一転、円安によるインフレに陥ると見る専門家もいる。昨年末に『もうこれは世界大恐慌 超インフレの時代にこう備えよ!』(徳間書店)を上梓したばかりの経済アナリストの朝倉慶氏は、破綻後の日本の姿をこう予言する。

「破綻の状況にもよるので正確なことは言えませんが、財政破綻が起きたときには物価が3、4倍になることも往々にしてある。日本はエネルギーをほぼ100パーセント輸入に頼っていますし、食料も輸入が多いですよね。輸入品の物価が高騰すれば、いわゆるハイパーインフレとなる可能性は十分にあると思います。国民生活は奈落の底に落ちてしまう」

 ハイパーインフレになればお金の価値が劇的に下がるので、今の資産など紙切れ同然だ。では、貨幣価値が変わらないと言われる「ゴールド(金)」を保有しておくのはどうか。近年、世界経済の不安さを背景に、国際的にも金市場の重要性は高まり、その価格は上がる一方だ。だが、オールアバウトプロファイル登録専門家・防災アドバイザーの高荷智也氏は、それすらも安心とは言えないとこう指摘する。

「金は、経済状況が回復するまでの資産防衛策としては有効ですが、生活防衛策としては使えません。というのも、例えば金貨を持って食パンを買いに行っても、相手はそれが本物かどうかを見極める方法がない。取引を拒否するかもしれません。おそらく、ハイパーインフレのような混乱期にはニセモノも出回るでしょうしね」

 結局、余裕のある大金持ちにしかゴールドは使いこなせないということ。では、庶民にできる備えとはいったい?

「災害への備えというのは基本的に楽しくない負担ですから、できるだけ気合いを入れず、楽に、今の生活リズムを崩さずに準備をすることが大切です。そのためには、モノをためる生活をライフスタイル化する必要がある。ぜひ、今日から買い物の際には、自分が消費するものをもう1個余分に買ってください」

 あくまで庶民は、小さいことからコツコツ備えるしかないようだ。

(取材/頓所直人、木場隆仁)

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