マンション経営のメリットとデメリットとは―重吉勉さんインタビュー(1)

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 魅力的な不動産投資ですが、リスクがあるのも事実。
 かんき出版から出版されている『中古ワンルームは「東京23区」を買いなさい!』は都内に1万戸の管理物件を持つ賃貸管理会社を経営する重吉勉さんが執筆した一冊で、「リスク」という切り口から、「マンション経営」について解説しています。
 年金制度の破綻という不安を抱えている私たちが、老後に備えるためにすべこととは? また、入居者側はワンルームに入居する際にどこをチェックすればいいのかまで、幅広くお話を聞いてきました。3回にわたってお送りするインタビュー、前編です。

■前編:マンション経営のメリットとデメリット

―まず、厚生年金が2031年に破綻すると発表されてから2年半が経ち、案の定、年金受給年齢をあげるなどの具体的な施策も議論されてきています。重吉さんご自身は今後の年金についてどのような見通しを持っていらっしゃいますか?

重吉「年金制度自体はなくなることはないと考えていますが、現在の方式のまま年金制度が存続することは難しいと思います。すでにニュースで話題になっているように、支給開始時期の延長、給付額の減少は近い将来行なわれるでしょう。そもそも、いまの年金制度は賦課方式、つまり現役世代が高齢世代を支える、いわば仕送り方式ですから、高齢世代よりも現役世代の人口のほうが多いことが前提です。しかし、世界一の高齢社会である日本が今後も、現在のような仕送り方式の年金制度を維持できると考えるほうが不自然でしょう。政府は、支給開始時期の引き延ばし、給付の削減などを行なって年金制度自体は維持しようとしますが、将来の年金制度の中身は現在のものとは異なるものになる可能性が高い。年金だけでは暮らしていけない。そんな時代がきても私は不思議には思いません」

―そういった状況の中で、老後に備える上でしておくべきことはなんだと思いますか?

重吉「年金があてにできない以上、自分自身の手で私的年金を作っておくことが大切です。
ただし、私的年金といっても預貯金では不安が残ります。老後の生活を現役時代に貯めた預貯金で過ごそうとなると、公的年金で不足する部分について預貯金を取り崩していくことになります。毎月、毎月、目減りしていく預金を眺めながら生活していかなければいけませんから、精神的な不安は計り知れません。そこで、私がすすめているのは、不労収入を得ることのできる収入源を作ることです。
毎月安定した収入があるのであれば、毎月その金額を使い切ってしまってもかまいません。翌月にはまた同じだけの金額が入ってくるのです。精神的な安定感はまるで違います。その不労収入の代表格が『マンション経営』です。東京・中古・ワンルームマンション経営であれば、リスクも抑えながら安定して家賃収入を得ることができます。同じ額の資産を作るのであれば、現金よりも収益不動産を持っていたほうが、老後に備える上ではるかに有益です」

―本書は「マンション」経営のノウハウについて執筆されています。バブル崩壊後、不動産で痛手を負った人たちが数多くおり、マスコミもこぞって彼らを取り上げました。その結果、不動産への投資や「マンション」経営についてはいまだに懐疑的になっている人も多いように思いますが、マンション経営のメリットはどのようなところにあるのですか?

重吉「残念ながら、バブル時代のマンション経営のイメージが強く残って、マンション経営と聞くだけで拒絶反応を示される方もいらっしゃいます。バブル時代のマンション経営は売却益、節税を全面に押し出した、うまい話・儲かる話でした。しかし、本来のマンション経営の目的は、売却益、節税ではなく、『長期的・安定的に収益を得ること』にあります。長期安定収入という点では、マンション経営は他の金融商品に比べて優位性があります。たとえば、築5年1500万円の東京・中古・ワンルームを購入した場合、毎月の手取り家賃収入は7万円程度です。マンション寿命は60年程といわれていますから、残り55年間は家賃収入が手に入る計算です。55年間で4620万円の収入です。もちろん、家賃下落リスクや空室、修繕積立金の上昇などの要因を考慮すれば、手元に残る金額は少なくなりますが、毎月安定して家賃収入が入ります。
また、実物資産ですからインフレにも強いですし、さらに人間が生きていくなかで欠かすことのできない衣食住のうち、唯一資産性があるものが『住』である不動産です。どれだけ不況が続いても、住む場所は欠かせません。他の金融商品にはない底堅い重要がマンション経営にはあります」

―例えば一度マンション経営をやってみて成功すると、次の物件もやってみようというような欲が生まれると思うんですね。そうしたときに、どこまで広げていいのかについてアドバイスはありますか?

重吉「次から次へと物件を増やしていったときに、当然自己資金だけで足りなくなるので、レバレッジをかける、つまり借金をするわけですよね。借り入れを起こしたときに、家賃が下落するリスクや空室リスクなどの家賃収入がなくなるというリスクが現実化したとしても、十分な返済余力があるかどうか、それは当然視野に入れないといけません。
また、将来、金利が上昇する可能性もあります。今は低い状態が続いていますが、20年前のバブル期の都銀の住宅ローンの金利は7%、住宅金融公庫の金利も6%と、非常に高かったんです。現在の投資用のローンの金利は2%台ですが、もし金利が倍になったときにその借金を本当に返済できるのかということを踏まえて、借り入れを行って欲しいですね」

―つまり、自分が持っているお金の状況をかなり明確につかんでいないといけない、と。

「リスクをヘッジする方法は、借金を返すしかないんですよ。だから、目先の短期的な収入に走ってしまうのは怖いことですから、それに対して警鐘を鳴らしたいという思いでこの本を書きました。不動産投資の本は、比較的煽るような本が多いように思いますからね」

―では、逆にデメリットをあげるとしたらどういったことがありますか?

重吉「マンション経営で長期安定収入が得られるといっても、すべてのマンションで実現できるわけではありません。例えば、数年前は高利回りにつられて地方でのマンション経営が盛んに行なわれましたが、目先の利回りに目を奪われると、ロクなことはありません。空室がなかなか埋まらない、家賃の下落が止まらない、修繕費用が想像以上にかかっているなど、思うようなマンション経営ができないといった声を良く聞きます。マンション経営は長期安定収入を得ることが目的ですから、短期的な利回りに惑わされず、賃貸需要の高いエリアでマンション経営をスタートすべきです。そうした意味では、マンション経営の立地を間違えてしまうと、あとから取り返すことが大変難しいので、そこはマンション経営のデメリットといえるかもしれません」

―マンション経営をする際の物件選びで、賃貸需要の他にどのような部分を重要視すべきですか?

重吉「管理状態ですね。エントランスやゴミ置き場の状態は見るべきですし、部屋の中がきちんと内装されている、最新の設備がついているというのも大切です。防犯の観点からいうと、オートロックは絶対条件ですよね。さらに耐震性も重要です」

(中編へ続く)


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