物語は、偉大なるポップスター、キング・オブ・ポップである「彼」が死んだ夜から始まります。チャイルドスターの一人としてこの世に現れた後、ポップスターとして花開くものの、同時に変人とも噂され始め、廃校した名門小学校の校舎と敷地を大金で買い取り、ネバーランドのような「楽園」と呼んで住んでいた「彼」。

 さて、この「彼」という人物ですが、誰もが故マイケル・ジャクソンさんのことを連想するのではないでしょうか? 2009年に死去したマイケル・ジャクソンさん。昨年11月には、多量の麻酔薬を投与して彼を死亡させたとして、専属の医師であったコンラッド・マーレー被告が過失致死罪で有罪判決を受け、注目を集めました。

 本書は、「もしも日本にマイケル・ジャクソンさんのようなスーパースターが存在し、彼が亡くなったら」と仮定したフィクションですが、物語は実際に起きた出来事がモチーフとなり、実在する人物を連想させるキャラクターが続々と登場します。

 6章からなる長編小説で、「彼の子ども」、「彼のファン」、「彼を批判するジャーナリスト」、「彼を訴えた子ども」、「彼の姉」、「彼のセキュリティスタッフ」など、キング・オブ・ポップの「彼」を中心にして、それぞれの視点で物語が展開し交差していきます。

 人類史上最も成功したエンターティナーと称され、数えきれないほどの名声を手に入れると同時に、数えきれないほどの訴訟を起こされたことでも知られるマイケル・ジャクソンさん。

 「いつの世も、スーパースターってのはみんなの心の鏡なのよ」という作中の「彼」の姉のセリフから読み取れるように、彼の善意だとしても、まっすぐに信じる人と、偽善や悪意にさえ映ってしまう人に分かれます。事実、マイケル・ジャクソンさんを非難していた声も、彼が他界してからは彼の死を惜しむ声に変わりました。

 自分を基準に物事を判断しがちな私たちにとって、数々の伝説を残したスーパースターから考えさせられることは数多くありそうです。



『もしも、スーパースターのマイケル・ジャクソンが日本に存在していたら?』
 著者:
 出版社:講談社
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