“優先順位をいかにつけられるか”が大事 事業再生の現場について洲山さんに聞く(2)

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 中小企業の7〜8割が赤字と呼ばれるこの時代。いつ資金繰りがショートしてもおかしくなく、将来に不安を抱えているという経営者も少なくないはずだ。
 では、「事業再生」の現場は一体どのようになっているのか? 『あなたの会社をお救いします』(幻冬舎/刊)を著し、経営コンサルタントとして活躍している洲山氏にその実態を聞いてみた。
 後編となる今回は、事業再生をするために経営者に求められるものについて答えてもらった。

■優先順位をいかにつけられるか、それが再生への道の一歩

―本書の中で述べられている「即、入院」とはどんな状態なのですか?

「このままいけば資金ショートして挽回できなくなってしまう会社ですね」

―知識のない者の印象ですと、資金繰りができなくて追い詰められたらもう諦めるしかないのかなと思ったりもします。

「そんなことはありません。諦めたら終わりですから。お金が足りなければ、どこからか借りてくるか、支払いを抑えるしかありませんよね。支払いを抑えるとしたら、仕入先なり外注先なりに頭を下げて待ってもらうしかありません。もちろん迷惑をかけることですが、安易に会社をつぶしてしまったほうがもっと迷惑をかけるわけで、できる限り事業は継続したほうが価値はあります。ただ、待ってもらうにしてもやり方がありますから、やり方がわからない部分は私たちがアドバイスしますよ、ということですね」

―方法が分からないと、何をしてみようもないという風になってしまいますよね。洲山さんのところにもそういった悩みを持ってくる方が多いのですか?

「そうですね。事業再生のキーワードの1つが“プライオリティ”、つまり優先順位をどうつけるかということが大事なんですね。まず、資金ショートするのであればキャッシュアウトを止めないといけませんから、何から止めるのかを考えます。新たな売上をあげるために一番必要なものは仕入れや包装資材などになりますから、そこは削れない。そういう風に優先順位をつけて、優先順位が低いところは頭を下げて待ってもらおうというのが緊急対応になります。ただ、緊急対応を1、2年続けるわけにはいきませんから、どこかのタイミングで抜本的な再生スキームを組んで、動いていくことが必要です」

―一度ショートしかけた事業を立て直すために、経営者には何が一番必要ですか?

「言うなれば執念ですね。この事業を再生させる、継続させるという強い執念です。それがあるから仕入先や協力業者も応援しようと思うでしょうし、社員も社長を信じてついていこうと思うのではないでしょうか」

―では、経営者ではない人たち、つまり会社に勤めている人たちが本書を読むメリットはどこにあると思いますか?

「確かに企業を経営していなければ関係ない面もあるかも分かりませんが、人生においていつそういう立場になるのかも分かりませんよね。今はサラリーマンでも、将来社長しているかも知れない。また、事業というのは定年がないんですよね。気力と体力が充実している限りずっと出来ます。そう考えると、究極の自己実現を目指す上で経営者はとても良いんですよ」

―確かにその通りです。

「ただ、会社というのは基本的につぶれやすいように出来ています。例えば今年の1月1日に100社誕生したとしたら、今年の12月31日でそれが50社ほどになっています。半分つぶれるんですよ。さらに3年経てばその半分、10年経つと6社くらいですね、生き残っているのは。それだけ会社はつぶれやすいですから、いつ資金がショートしそうになっても、それを直す方法を知っていれば会社をつぶさずにやっていけますから、そういった意味でも本当に知っていて欲しい知識が詰まっていますね」

―本書をどのような方に読んでいただきたいと思っていますか?

「中小企業の経営者、もしくはこれから起業しようという方に読んで欲しいです。特に中小企業は、国税局の統計を見ると7、8割の会社が赤字なんです。余裕のある会社はほとんどないですし、将来に対して不安を抱えている経営者も多いと思うんですね。そんなときにこの本を読んで元気になってもらえるといいですね」

―では、読者の皆様にメッセージをお願いします。

「『社長に笑顔と勇気を与え続ける!』という旗印のもと、7年間、事業再生を中心としたコンサルティングを行い、その間に500社の再生に成功しました。社長が諦めない限り、少々は厳しくても必ず事業は立て直すことができますから、本書を読んでそれを知っていただきたいな、と思います。そして、もしものときでも大丈夫ということをまず感じていただいて、自社の経営に精を出して、地域経済の発展に寄与していただきたいと思います」

(了)



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