“当事者意識がない経営者”も 事業再生の現場について洲山さんに聞く(1)

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 中小企業の7〜8割が赤字と呼ばれるこの時代。いつ資金繰りがショートしてもおかしくなく、将来に不安を抱えているという経営者も少なくないはずだ。
 では、「事業再生」の現場は一体どのようになっているのか? 『あなたの会社をお救いします』(幻冬舎/刊)を著し、経営コンサルタントとして活躍している洲山氏にその実態を聞いてみた。相談に来る経営者たちの実像とは果たして…?

■「当事者意識」がない経営者もいる

―2011年は国内外において様々な動きがあり、日本経済に影響を与えることも少なからず起きました。この1年を通して経営者の皆さんにはどんな変化があったと思いますか?

「やはり意識が変わったのではないかと思いますね。特に3・11以前と以降では、大きく変化したと思います。直接、もしくはテレビなどを通じて被災地の様子などを見て、自分たちの生活が一瞬でああいう風になるということは感じたと思いますし、また、ほかにも原子力発電所の事故にともなう風評被害ですとか、海外からの観光客が減ったりとそういった部分からもリスクを感じたと思います」

―現在、経営コンサルタントとして様々な事業再生の現場に携わっていらっしゃると思いますが、ご相談に来る経営者の方々の数は年々増えているのでしょうか。

「一時期は減っていましたね。理由は2009年、当時の亀井金融大臣のもとで返済猶予法案、正式には「金融円滑化法」という法律が施行されたのですが、これはリ・スケジューリングといいまして、借り入れの元本返済を猶予することを、金融機関に努力義務として課したんですね。それで非常に助かった中小企業が多かったと思います。 ただ、時限立法なので来年の3月でこの法律が終わる可能性もあるんですよ(*現在、2013年3月までの再延長が決定したと報じられている)。そういうこともあるので、業界の識者の予想としては、来年はかなり厳しい年になるだろうといわれています。もし法律が延長したとしても安易なリスケはなかなか認められにくくなるでしょう、と。また、3・11の影響や原発の風評被害、円高など五重苦、六重苦といわれているようにマイナス要因がたくさんあるので、来年は企業の倒産件数がかなり多くなるように思いますね」

―なるほど。ここから本書の話をお聞きしたいのですが、非常にユニークだと思ったのが、事業再生を病院になぞらえている部分でした。そういったことも含めて本書を執筆したきっかけを教えていただけますか?

「毎月、大阪と東京でセミナーを開いているのですが、セミナーの限られた時間だけでは全部伝えきれないんですね。だから、そのセミナーで伝えきれない部分をカバーするという意味で執筆しました。また、事業再生というのはある意味で人間の病気と一緒なんですよ。人間が病気になったら病院に行って、まず問診を受けて、検査。重症であれば検査入院をしますし、そこから症状によって内科、外科、緊急でオペが必要であればICUに入ることもあります。そういう形で人間の身体に例えると、事業再生も分かりやすいのではないかなということで、“事業再生総合病院”というコンセプトで書いてみました」

―洲山さんに相談に来られる方で、最も多い症状はどのようなものですか?

「やはりほとんどは金欠病ですね。要するに、資金繰りがショートしてしまっている、もしくはショートしかけている。重症度合いはさまざまですが」

―完全にショートしてしまっている方もいらっしゃる。

「そうですね。この本には書いていなけれど、もう給与遅配が半年間続いている会社もありますよ。さすがに社員にとっては限界を超えていますよね。そんなところでも事業再生をしたことがあります」

―「これは困った」という相談事例はありますか?

「全く自社の数字を把握していない社長もいらっしゃるので、何を答えても『分からない』と言われたり、経理もどんぶり勘定でわけが分からなくなっているという状態になっている人もいらっしゃいます。あとは当事者意識がない社長もいますね。自分の会社なのに、何がなんでもこの会社を継続していきたいという想いがない、と。事業再生はまず自分の会社への想いがないと難しいんです。それが一番困りますね。当事者意識がなくて人任せなのはね」

―「気づいたときには手遅れ」という状態にならないようにするには、経営者はどういったところに気をつけるべきなのでしょうか。

「経営においては資金管理が大事ですから、資金繰り表を作ってお金の動き、キャッシュフローをしっかり把握することが大事です。大阪府の財政改革に成功した橋下徹大阪市長は、ずっと赤字続きだった府の財政を、入ってくるお金の中でまかなうという方針を決め、すぐに職員の賃金をカットしたり、補助金をカットしたりしていましたが、そういったことが大事です。あとは、橋下市長のように使命感を持ち、経営を良くするというミッションを掲げて、その上でアクションプランを立てて実行に移らないと効果は絶対に出ません」
(後編へ続く)



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