ケータイ・PCに過度に依存「IT中毒」とは?(2)

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 今、オフィスでは一人一台パソコンが割り与えられるのが当たり前、 そして移動中もタブレット型PCやスマートフォンで情報の受発信が可能になっています。いつでもどこでもインターネットに接続でき、メールもできるということで、ITは世の中を便利にしたといえます。しかしながら、その陰で、自覚症状もなく過度にITへ依存してしまう「IT中毒」ともいえる人々が増えているといいます。
 我々はITとどのように付き合っていけばいいのでしょうか。
 『「IT断食」のすすめ』(日本経済新聞出版社/刊)の著者である山本孝昭さんにお話を伺いました。

―本書の中に、ITによって便利になったけれども、それが結果に結びついていないと書かれていましたが、 結果という視点から考えたITとの理想的な付き合いとはどのようなものですか?

「大事にすべきアナログの時間をより多くつくるために、ITを使うべきです。 ITを使うことによって便利になることはとてもいいことなんですよ。面倒くさいことはテクノロジーに任せてしまえばいい。 その空いた時間を誰かに会って話してみるとか、本屋をまわってみるといったアナログ行動に費やすべきなんです。 ITによって、ビジネスにおいても誰もが同じ技術を手に入れることができるようになったわけですが、 いくらパワーポイントが最新版であっても案件獲得に寄与できるかどうかはまた別の話ですよね。結局はアイデアであって、 それはアナログ時間を使って集めてくるものだと思います」


―IT機器を先取りしたいという欲も多くの人が持っていますよね。 でも、先取りしたい欲が先行してしまっていて、ITを何のために使っているのか目的がなくなってしまっているのかも知れません。

「おっしゃる通りで、あまりにもいろんな場面でITが使えるので、目的が塗りつぶされているんですよ。使うことが目的になってしまっている」

―本書の中で述べられている「IT分解力」についてお聞きしたいのですが、これはどういった力のことでしょうか。

「うまくITの機能を使いこなして、アナログの時間をより多く作ることができる力のことですね。 そういったことができる人は『IT分解度』が高いといえます」

―何を目的としてITを使うのかわかってくると、時間が上手く回り出すのかも知れませんね。

「そうですね。もちろん、ITを仕事にしている人はそれが仕事場なわけですからいいんですよ。 でも、多くの人はそうじゃないはずです。実際に現場に行ってみるなどして、 相手の目を見てコミュニケーションを取るということが大切なんですよね。去年、今年と仕事でインドに行きましたが、 やっぱり実際に行ってみないと分からないことは多いですよね。あの熱気、匂い。それらは写真や動画じゃ分かりません。 逆に行ったことのある人の言葉にはリアリティがあります」

―IT断食を実践する上で、どのように始めてみればいいのでしょうか。何か具体的な方法はありますか?

「例えば休みの日は携帯電話を置いて外に出てみるなどでしょうか。IT断食を試してみることによって、 自分がIT機器に取られていた時間の膨大さに気づくことが大事なんです。また“断食”といってもこれは1つのレトリックであって、 本質的にはITに依存している自分に気づくために、そういったことをしてみたらどうか、ということなんです」


― 一度離れないとなかなか分からないですよね。でも、おそらく最初は不安になると思います。

「そうでしょうね。今、子どもたちが、携帯電話の持ち込みも全部禁止して一週間山の中で冒険するレクリエーションが人気なんだそうです。 子どもたちはITへの依存度が高いですから、安直な便利さとともに困難から逃げることができてしまうんですよね」

―『「IT断食」のすすめ』ですが、特にどのような方に読んで欲しいと思いますか?

「現在働いている人、もしくはこれから社会に出て行く人に読んで欲しいですね。基本的には組織の中での話をしているため、 ビジネスに携わっている方には読んでいただきたいです」

―では、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

「アナログ時間を大事にしよう、ということですね。ちゃんと現場に行って当人に会う。
そのために時間をさいてください、と伝えたいです」
(取材・記事/山田洋介)


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