昨年9月、経済産業省に見切りをつけた“脱藩官僚”古賀茂明氏。改革の声を上げても抹殺される今の日本はこのまま沈みゆくのか。今こそ維新の時、古賀氏に学べ

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 ユーロ危機が現実味を帯び始めている。年明けとともに、外国為替市場ではユーロ売りが加速。1月5日のロンドン市場では、ユーロが円やドルに対して下落し、対円では1ユーロ当たり98円46銭と、2000年12月以来11年ぶりの安値をつける瞬間もあった。

 その余波は、確実に日本にも押し寄せるだろう。はたして2012年以降の日本経済はどうなるのか。経済産業省の内部から「天下り規制の強化」「年功序列人事の廃止など」さまざまな改革案を打ち出した“公務員改革”の急先鋒・古賀茂明氏は、「日本のギリシャ化」があり得ると断言。そのキッカケになるのが、野田政権が強行しようとしている消費税増税だ。

「段階的に消費税を10%にまで上げるというものだけど、財政危機に苦しむギリシャの消費税って23%なんだよ。それだけ消費税を上げても国の財政状況はよくならず、結局は破綻してしまった。なぜって、ギリシャの消費税アップは改革なき増税だったから。本当なら増税の前に財政を切り詰め、改革を進めて経済成長力、つまり国家の『金を稼ぐ力』をつけなくてはいけなかった。でもギリシャはそれを怠り、増税に走って沈没した。日本もそのギリシャと同じ道を歩もうとしている」(古賀氏)

 6日に発表された社会保障と税の一体改革素案では、消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げることになっている。だが古賀氏が指摘するように、国家の経済成長力をつけるための財政改革が伴わなければ、消費税をいくら上げても「消費低迷→景気悪化→税収減」の悪循環に陥ってしまうことは、ギリシャを見れば明白だ。にもかかわらず、政権与党である民主党はその改革をやる気がまったくないと、古賀氏は言う。

「公務員の給与カットや天下り根絶などの公務員改革があっさり先送りにされてしまったことを見ても明らか。こんなありさまで日本が元気になれるはずがない。間違いなく日本はダメになるよ」(古賀氏)

 かつて経産省内部で「公務員改革」という正論を押し通した揚句、閑職に追い込まれた古賀氏。昨年9月には、約2年間も仕事を与えなかった経産省に見切りをつけ辞表届を出した。都合の悪い意見を抹殺する役人の悪習を無くさなければ、日本は変わらない。

(撮影/山形健司)

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