2012年、人類滅亡。マヤ暦に刻まれたこの予言は当たるのか? 2大古代暦のエジプト暦(写真)にはどう描かれているのか?現地取材を敢行!

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 少し前まで、本や映画のネタとして数多く取り上げられたマヤの予言「2012年人類滅亡」。とうとう、その“指定された年”に突入してしまった。まさか、とは思うが、最近は日本も世界もどこか不安定。はたしてマヤの予言とは何なのか? 「滅亡する」「滅亡しない」両者の意見を聞いた。

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■「2012年、人類滅亡はある」

 メキシコ、ユカタン半島に、世界遺産チチェン・イッツァの遺跡がある。そこにはマヤの最高神ククルカンが降臨するといわれる、カスティーヨというピラミッドがある。

 このピラミッドこそが、マヤの巨大なカレンダーそのもの。毎年、春分の日と秋分の日に神蛇の姿が影として浮かび上がり、人々に正確な暦を伝えている。この暦の一年は365.2420日。これは現在のコンピューターを使った計測数値と0.0002日しか違わない精度だ。

 そんなマヤの暦をつかさどるのがシャーマンと呼ばれる神官たち。なかでも、マヤ最強と称されるフィリッペ・ヘスス氏に人類滅亡説について話を聞いた。

 身長150cmほど。テンガロンハットにゾウリ履きという外見には、一見、最強シャーマンのイメージはない。しかし、地元警察に協力して難事件を占いで解決したり、村人を悪霊から救ったりと、住民たちの信頼は絶大だ。

 ヘスス氏は「普段は見せないんだが……」と言いながら、予言の儀式の取材を許してくれた。祭壇に祈りの言葉をささげ始め、徐々にヘスス氏の体が揺れトランス状態に入っていく。

「暦が始まる前、暗黒の世界には太陽もなく、ただ神々だけが存在した。神々は世界を創造し太陽を作り、空と海を作った。次に陸地を作り動物や植物を作った。最後に残った粘土で人を作った。太陽と大地ができて暦が生まれ、人だけがそれを操る力を身につけた」

 暦を手に入れ、人間は自然をコントロールできるようになったということか? 2012年の人類滅亡について聞いてみた。

「人は暦を手に入れ、火を手に入れて、小さな太陽を作れるようになった。夜を支配したのだ。それで満足すればよかったのに、自分が神になったと勘違いするものが現れた。うぬぼれた人々は太陽の報いを受けることになるだろう! 人に許されたのは暦と限られた火を使うことだけなのだ。おごったブクブ・カキッシュが滅びたように……粘土に返るだろう!」

 ヘスス氏はとりつかれたように語るが、話が核心に近づくと、古代マヤ語になり、通訳も理解できない。しかし、人類が大きすぎる火を使ったことが神々の怒りに触れて報いを受けるというのはわかった。やはり、2012年の12月23日には何かが起きるのだ!

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■「2012年、人類滅亡はない」

 マヤ暦と並ぶ古代暦といえばエジプト暦。太陽信仰と天文観測を基にした世界最古の暦はマヤと同じく王家の秘宝として扱われている。

 そのエジプト暦研究の第一人者、首都カイロに住むイメンさんに、マヤの人類滅亡説に対する見解を聞いた。

「太陽神ラーの真の名を知ることで、イシスは偉大なる魔術の力を手に入れた。そして彼女はその名を息子のホルスにも伝えた。するとホルスも偉大な魔術師となった……。イシスとホルスとは、人類滅亡伝説が残るイシス神殿に祀(まつ)られる母子です。では太陽神ラーの真の名とは何かわかりますか?」

 わからず困惑する取材班をよそに、イメンさんはパピルスに描かれた不思議な絵を取り出した。

「これが古代エジプトの暦です。宇宙を意味する円を支える神様の数は12。これは一年の月の数を表します。神様たちの手は24本で、一日の時間を表しますね。また、円の中には小さな神様が全部で36。これは一年が36週あることを意味します。エジプト暦では一週間は10日。36週で360日。残りの5日は季節ごとの“お祭りの日”です。これで一年となります」