中国の有名歌手である韓紅氏が12月29日、張芸謀(チャン・イーモウ)監督の南京映画「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー(金陵十三釵)」を見た感想を自身のマイクロブログ(中国版ツイッター)でつぶやいたことが問題になっている。韓紅氏は日本人を口汚く罵(ののし)り、それに対してユーザーが賛否両論の意見を書き込んだのだ。中国人ブロガーの「胡志平」さんは「韓紅氏の行動は本当に愛国主義と言えるのか」というテーマで自身のブログにつづっている。

 韓紅氏はマイクロブログで「日本人を永遠の敵とする」、「日本製品は今後一切使用しない」と誓ったものの、責任を負えなくなったのかすぐに削除し、「映画の批評はしない。ただ中国人として日本人が中国人を侮辱するのを見て怒っている」と書き直した。

 筆者はこれに対して「怒って彼らを罵ってどうなる」と問いかけ、「それは何の役にもたたない」と答えた。中国人は怒ると「すぐに汚い言葉を吐き、馬鹿なことをしてしまう。これは中国と中国人の品格を損(そこ)なうだけ」と非難し、むしろ「言葉を少なくし、行動によって証明しよう。人を罵らずに、自分を磨こう。それこそ知恵のあること」と述べた。

 さらに筆者は、愛国主義とは国家・国民が少なくとも顧みるべき規範であると述べ、それは「見栄(みえ)のうえに築かれるべきものではない」と述べる。愛国主義は必要であり、日本軍の侵略の歴史を忘れることはできないと自身の気持ちをつづりつつも、「愛国主義には理性が求められる」と強調。

 さらに「手を振り上げ、汚く罵るのは決して愛国主義ではない」とし、本当の愛国主義とは国民1人ひとりが道徳や民度を高め、なすべき仕事をきちんと行なうことでさらに国家を強めるというものだと述べた。続けて、国家や民衆が富むことによって、中国人は自尊心を保つことができ、もし中国人が派手に相手を罵ったとしても、日本は何一つ害を受けないと指摘、「日本のような国こそ強国なのだ」と称賛した。(編集担当:畠山栄)