物語が不要というわけじゃありません。
ただ、シンプルにゲームを楽しみたいだけなんです。深夜、くたびれて帰宅した後にサクッとワンプレイ。それこそ、30分枠のアニメを楽しむように、ゲームと触れ合いたい...。そのためには、ムービーシーンは不要なんじゃないかと思うんです。
重厚なストーリー、精緻なグラフィックもいいとは思いますよ。ただ、それを追求するがあまり、ボクみたいなちょこっとずつ遊びたい人向けの仕様ではなくなっているのは、とっても悲しいと思うんですよね。
特にそう思わせるのは、まず『龍が如く』シリーズ。
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■とにかくムービーシーンが長っ!『龍が如く』シリーズ
誤解を恐れずに書きますが、ボクは『龍が如く』シリーズの大ファンです。
だって、ほそぼそとサラリーをいただきながら、サービス残業にあけくれ、毎日深夜の満員電車で帰宅しているような男ですよ。そんなくたびれた一社会人にとって、『龍が如く』の世界は夢の世界。伝説のヤクザ桐生一馬になりきって、神室町を肩で風切って歩くなんて、最高じゃありませんか!
ちなみに同シリーズは、1〜4までプレイ済み。すべてのシリーズでキャバ嬢は全員オトしていると思います。残念ながら「見参」は未体験ですが、「OF THE END」も買いました。でも...正直、疲れてしまったんですよね。ムービーシーンを視聴するのに。
だって、仕事でたまった憂さをはらすために、据え置き機のゲームを楽しむのは、帰宅後の数十分から1時間程度。睡眠時間とのせめぎ合いの中、あえてスタートボタンを押すのに、延々とゲームの背景を説明されては、ちょっとしらけてしまいますよね。
しかも、やっとゲームができると思ったら、セーブポイントは決められた箇所のみ。30分だけと思っていたのに、本来の面白さではない部分で、プレイ時間が長くならざるを得ないのは、ちょっとツラいです。
繰り返しますが、ボクは『龍が如く』シリーズの大ファン。でも、ムービーシーンのあり方については、なんとかしてもらえないかと思っています。
■なんとなく不自然さが気になる。『アンチャーテッド』シリーズ
『龍が如く』シリーズと比較して、ほどよくムービーシーンを織り交ぜているのが、『アンチャーテッド』シリーズでしょう。
ちなみにこのシリーズも、ボクは大ファン。シリーズ第1作「エル・ドラドの秘宝」は未プレイですが、第2作「黄金刀と消えた船団」に第3作「砂漠に眠るアトランティス」はクリア済み。しかも、息つく暇なく、現在PS VITAの「地図なき冒険の始まり」も絶賛プレイ中なんですから。
約束された神ゲーと称される、このシリーズ。大きな売りのひとつはムービーシーンとアクションシーンのシームレスさ加減ですよね。「あれっ!? もう操作可能になっているの?」という驚きは、なんど味わっても小気味いいものです。
ところが、逆に「一生懸命にゲームが映画になりたがっている」感がして、やはりしらける瞬間があるんですよ。延々とシューティングが続いたり、簡単なわりには手間がかかる謎解きをさせられたり...。いや、それも含めて楽しんでいるんですけど、完成度の高さゆえに、そういう冗長なところが気になってしまうんです。なんせ就寝前の時間は貴重ですからね。
ふたたび繰り返しますが、ボクは『アンチャーテッド』シリーズの大ファン。だけど、もっとゲームと映画をうまく融合できる方法があるんじゃないかと思うときもあります。
■偉大なるマンネリもオッサンにはつらい。『スーパーマリオ』シリーズ
上記2作品に対して、潔くムービーシーンを排したのが『スーパーマリオ』シリーズ。
もちろん、このシリーズも大ファンですよ。というより、嫌いな人はいないでしょう? ファミコンからゲームボーイと続き、ニンテンドーDS(Wiiは未プレイ)まで。それぞれの年代で、それぞれの個人的な思い出が存在します。この歴史の深さ、本当に感心してしまいますよね。
ニンテンドー3DSの起爆剤として、去る11月に発売された『スーパーマリオ 3Dランド』。これもプレイしてみて、あらためてそのゲーム性の高さに驚かされました。根底に流れるものは、1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』とまったく変わらないのに、ありとあらゆるノウハウを投入して、ゲームそのものの面白さを研ぎすませているんです。
ところが、一番最初に思ってしまったんですよ。「またピーチ姫を助けに行くのかよ...」と。これまでの四半世紀に加え、さらにまた、ただピーチ姫を助けるためにコントローラーを握り続けるのは、やっぱりツラい。
まあ、もちろん、すでにアラフォーとなってしまったボクは、対象年齢外といわれればそれまでです。でも、オリジンに直撃した世代として、もっとストーリー的に驚きがあったらうれしいなと思うわけですよ。
■すべてにおいてインタラクティブ。『Portal2』が神すぎる
さて、長くなりました。そろそろ結論へと向かいましょう。
これまでつらつらと、好きだ好きだといいながら、有名ゲームに対してケチをつけてきたわけですが、もしかしたらそんな感情を得ずに、ただ「好き」と思い続けているケースもあったかもしれません。『Portal2』に出合わなければ。
誰かを撃ち殺すこともなく、登場キャラも数えるほどしかいない、この一見地味なゲーム。熱狂的なファンが多いことは知っていましたが、正直その素性はあまり知りませんでした。プレイ以前に得ていた情報は、FPSのなりをしたパズルゲームであること、そして独特の世界観を持っていることぐらい。でも、新しいゲームスタイルに目がないボクは、発売日に迷うことなく購入したんです。池袋のビックカメラで。
はじめは、そのユニークなゲーム性に、ただただ「面白い、オモシロイ」と思っていた本作。ですが、途中からプレイすることに息苦しさを感じている自分に気づきはじめました。パズルを解くことに快感を得ているのは確かなのですが、それ以上に「早く地上に出たい!」という欲求が直接的なプレイの動機になっていった...。
地下の巨大施設の奥深くに、何らかの理由でコールドスリープされていた主人公Chell。主人公を助けようと擦り寄る小型ロボットWheatleyとともに、そこを管理するコンピューターGlaDOSに抵抗していくというストーリーなのですが、いつのまにやらタダナラヌ没入感を得ていたんですよね。
理由はいくつか挙げることができます。たとえば、パズルのレベルデザインがあまりにも絶妙なため、クリアしていくごとに、キャラクターではなく、自分自身の経験値があがっていることを実感できる仕組みとか。イースターエッグのように隠された、メインストーリーとは直接的に関係のない仕掛けが、あまりにも鮮烈すぎるとか。
でも、一番の理由は、ムービーシーンが極端に少ないことにあると思うんです。いやストーリーがある以上、きちんと物語が紡がれているのは確か。でもそれは、プレイヤーが「能動的に」見つけるオブジェクトだとか、「プレイの最中」にもかかわらず、やかましく語りかけてくるWheatleyやGlaDOSの台詞によって進行されるんですよ。
思い返すと、一方的に映像を押し付けられるような部分は、最後の部分だけ。それ以外は、すべてインタラクティブといっても過言ではありません。従来のゲームなら、ムービーシーンとプレイシーンが分けられますが、そこに厳然たる境目が存在します。「あ、オレはこの物語の傍観者なんだ」と気づかされてしまうわけですね。でも、『Portal2』には、それがない。だから、没入してしまう。
このゲームをクリアして感じたことは、神の手ともいえる制作者の手腕。プレイヤーが自発的に動いているようで、実は彼らの手の中で踊らされていたという凄みです。
なにしろ、ラスボス戦はとにかくすごかった。対戦方法は、そんなに目新しさはないのですが、驚愕なのはトドメのさし方。アレがああなって、コレをこうするしかないのですが、その結果、あんなとんでもないことが引き起こされてしまうとは! 経験された方にしかわからないと思いますが、このカタルシスに作り手との深いつながりを感じてしまった次第です。
ここまで褒めるのなら、さぞ睡眠時間を削ってプレイしたことだろうとお思いでしょうが、さにあらん。ゲーム内ではチェンバーと呼ばれる、いわゆる「面」が細かく区切られているし、オートセーブ機能も搭載されているので、一度に長時間プレイする必要がないんですねー。本当に30分の深夜アニメを楽しむ感覚で、毎日コツコツと気軽にプレイすることができたんです。
あえてケチをつけるとしたら、一点だけ。日本語対応してほしかったというところです。なにせアクションをしながら字幕を追うのは、老眼間近の眼にツラい。ま、「お前が英語をマスターしろよ」って話なんですけどね。
最後に「ムービーシーン不要論」を簡単にまとめておきましょう。
・ユーザーを魅了する物語は絶対的に必要。
・ただし、それを一方的なムービーに詰め込んで欲しくない。
・また、ゲームと物語を極力有機的につなげてほしい。
・そのためには、常にインタラクティブであることが有効なのでは?
・オートセーブ機能は必須。
・そして、できれば、すべて日本語対応で...。
以上をクリアしている作品が、ボクにとっての神ゲーなんです。『Portal2』以外にも、そういう作品があったら、ぜひ教えてください!
えーっと、たしかに以前、発売元のEA様より『Portal2』のタイアップをいただいたのは、事実です。でも、それとは関係なしに、このゲームは素晴らしい。現代における、総合エンターテインメントの最先端を切り拓いた作品だと断言できます。
まあ、でも、SEGA様、SCE様、任天堂様。ご興味があれば、お問い合わせください。いつでもご相談に乗らせていただきます。
(オサダシン)
本記事は年末年始の企画として、Kotaku JAPANスタッフのそれぞれに自由なテーマでコラムを書いてもらったものです。以下のリンクから、ほかのコラムもどうぞ!
2011年末年始コラム

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