大学の勢いがそのまま反映? 「箱根駅伝」の面白さとは

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 毎年1月2日、3日の午前中からお昼にかけて箱根駅伝を観戦しながら過ごすという人も多いだろう。2011年は、優勝争いだけでなく、シード権争いも白熱した。ゴール直前まで4校が残り3つのシード権を争い、國學院大学の寺田選手がコースを間違え、ゴール前を右折。すぐにコースに戻ってなんとか10位に入り、シード権を獲得。一方、11位の城西大学は、わずか3秒差でシード権を逃した。最後の最後まで手に汗握る展開だった。

 幻冬舎から出版されている『箱根駅伝』(生島淳/著)は、箱根駅伝をより楽しむための本だ。
 2011年、18年ぶりの総合優勝を成し遂げた早稲田大学の戦略、箱根駅伝の区間配置のタイプ、外国人留学生の問題、箱根駅伝と大学経営、近年好成績を残している駒澤大学・大八木弘明監督、東洋大学・酒井俊幸監督、早稲田大学・渡辺康幸監督への一問一答など、さまざまな角度から「箱根駅伝」を見ていく。

 高校野球で甲子園に出場すればその高校の知名度が上がるように、箱根駅伝に出場するとその大学の知名度が上がるが、それは志願者数に影響する。2009年に東洋大学が箱根駅伝で初優勝し、その年に大きく志願者数を伸ばしたという。大学受験の出願期間に近い箱根駅伝は宣伝効果が抜群にあるのだ。
 その影響で「新興校」と呼ばれる平成時代に入ってから本格的な強化に取り組んだ大学は、ユニフォームの校名が漢字であることが多い。これはテレビの視聴者に大学名をアピールするためだ。反対に早稲田、中央、日大、明治といった戦前から箱根の常連校は、ユニフォームの文字が「W」や「C」、「N」、「M」といったようにアルファベットである。今まで何気なく見ていたユニフォームに注目してみるのも面白い。

 また、近年、箱根駅伝のレベルが上がり、高校生の獲得の競争が激しくなっているという。これは、「ブランド校」が本腰になって強化に取り組んでいるからだと著者の生島氏は述べる。その代表格が明治大学と青山学院大学で、2011年4月に入学した選手たちを見ると高校3年生で5000メートルのトップ100に入った選手のうち、11人が明大に、7人が青学大に進んでいるという。
 本書の中で東洋大の酒井監督の「大学としての勢いがある学校の力が、駅伝にも反映されている」というコメントをピックアップしている。明大は一般入試の志願者数で早大を抜いてトップになっているが、その勢いが駅伝にも現れているというのだ。こうした高校時代実績を残した選手を多く獲得するブランド校に、城西大、帝京大、上武大といった地道に選手を発掘している新興校がどこまで迫れるかということも、箱根駅伝の楽しみの1つだろう。

 往復200キロ超、約11時間にもおよぶ戦いには、かけひきや伝統、襷にかける思いが、それぞれの大学にある。そして、優勝争い、山の神・柏原選手の活躍、シード権争い…2012年も箱根駅伝を楽しみにしている人は多いはずだが、本書を読めば、より深く観戦できるだろう。
(新刊JP編集部)



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