作家の10代の頃の読書遍歴とは?

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 あなたは今までどんな本と出会ってきただろうか。
 そして、自分の人生に大きな影響を与えるような愛読書に出会うことができただろうか。

 『10代の本棚』(あさのあつこ/著、編集)では、本書の編集者でもある、作家のあさのあつこさんをはじめとした13人の個性豊かな大人たちが、10代の頃を振り返って、どんな本に出会い、何を考えていたのか、当時のエピソードを交えて紹介していく。 

 2007年に『一瞬の風になれ』(講談社/刊)で吉川英冶文学新人賞、本屋大賞を受賞した作家・佐藤多佳子さんも10代の時の読書遍歴を紹介している。
 好きなものに統一性がなかった小学校時代は、トーベ=ヤンソンの「ムーミン」シリーズとモンゴメリの「赤毛のアン」シリーズを好んで読んでいたという。さらに歴史小説、時代小説にも興味を持ち、特にハマッたのが、大佛次郎の「鞍馬天狗」シリーズ。この流れで中学時代には新撰組にハマり、さまざまな本を読み漁り、司馬遼太郎の『燃えよ剣』と『新撰組血風録』がなにより好きだという。
 中学高校時代は、何でも読み漁る雑食系読書から、主に海外の児童文学を集中的に読むようになる。まさに児童文学マニアだったと佐藤さんは回想する。この時期の読書の影響から「好きな作家は?」という質問には、今でもリンドグレーンとアーサー・ランサムと答えるのだという。また、この頃、佐藤さんの創作活動が始まったという。それはリンドグレーンの『わたしたちの島で』という物語が終わってしまったのがつまらなくて自分で「続き」を書くようになったのがきっかけだったという。
 高校時代には佐藤さとるの本に出会い、この頃書いていた習作は、みんな、どこか「佐藤さとる風」だった。児童文学マニアの佐藤さんも高校の中ごろから夏目漱石、トルストイ、村上春樹も読むようになる。
 佐藤さんは次のように語る。

「子どもの本の世界には、そこにしかない光があり、喜びがありました。この光と喜びを追い求めていくことは、今も私の創作のベースです。小説と呼ばれるジャンルを書く時も然りです。」(P99より)

 佐藤氏は大好きな本との出会いが、小説家になるきっかけとなった。素敵な本との出会いが、その人の人生の転機のきっかけになるかもしれないし、支えられ、励まされ、希望を与えられることがある。本書は、何度も読み返したくなるような素敵な本に出会えるかもしれない、そのきっかけを与えてくれる一冊だ。
(新刊JP編集部)



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