実際に日本で財政破綻が起こったらどうなるのか?

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 『もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら』(池田信夫/原作、田代真人/構成、藤咲ユイ/作画、日経BP社/刊)というこのタイトルは、間違いなくかのベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(ダイヤモンド社/刊)を意識しているものなのだろうが、本書を読み進めていくとその内容に「もしドラ」以上の妙な“リアリティ”がある。

 2013年、政権を担っていた主民党は総選挙で敗れ、民自党が政権を奪回した。しかし、復興支援政策などが響き、脆弱な財政基盤のもとで不安定な政権運営が続く。財政危機は悪化の一途を辿り、2014年にようやく消費税率を10%に上げたものの、不況による所得税などの税収減でほとんどプライスマイナスゼロとなり、財政赤字は増え続けていた。
 2015年、時の首相・山柿は「財政非常事態宣言」を出し、売れ残った国債を日本銀行にすべて引き受けさせた。しかし、これをきっかけに邦銀はいっせいに国債を売り始めたのだ。デフレは終わり、逆にインフレが増幅。物価は1ヶ月で10%以上上昇し、「狂乱物価」が始まった。さらにインフレ・スパイラルは進行し、山柿内閣は総辞職。そこで若手議員の結束によって総裁選をトップで通過したのが、小泉進次郎であった――。

 本書はこんなシーンからはじまる。

 そして、小泉進次郎は総裁就任記者会見で一冊の本を高らかに掲げる。ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』である。そしてこの本から小泉が行うと宣言するのが、以下の10項目だ。

1、農業補助金の廃止
2、関税の撤廃
3、最低賃金の廃止
4、企業に対する規制の撤廃
5、政府による電話の割当の廃止
6、公的年金の廃止
7、職業免許の廃止
8、教育バウチャー
9、郵政民営化
10、負の所得税


 小泉はこの10項目を遂行するべく国会に立ち向かっていくわけだが、もちろん全ての事が上手く運んでいくわけではない。さまざまな困難が襲いかかり、常に決断を迫られる。国民生活は混乱をきたし、公務員がストライキを行い、一般民衆の暴動が起きたとき、一体彼はどうしたのだろうか。そして、小泉は最悪のシナリオを回避できるのか?

 本書は経済学者の池田信夫氏原作のマンガであり、日本経済の近い未来を描いたフィクションである。しかし、読み手はこれから起こり得る“現実”として受け取るべきではないだろうか。
 財政破綻が実際に起きたとき、日本に一体何が起こるのか。
 経済や金融の知識をあまり持たない人でも、本書を通して危機意識が高まるはずだ。
(新刊JP編集部)



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