広告業界志望者が抱くダメ質問とダメな志望動機を解説します
12月1日から就職活動戦線が開始しました。苦しい日々を過ごすかとは思いますが、就活生の皆さん、なんとか乗り切って良い人生の一歩を踏み出して下さいね。ここで今回は、広告業界に就職を考えている方からよくもらう2つの質問にお答えし、言ったら損する2つの定型句を紹介します。ただし、完全に鵜呑みにはしないでくださいませ。【Q.1】広告研究会に入っていた方が有利か?
多分有利じゃないと思います。別に、広告研究会に入っていたからってそれが実務に役立つわけでもなく、「面接段階で広告に関し、やや知識・体験が多い」という程度のことです。それらは、実際に働いた後、すぐに埋められてしまう差です。むしろ、広告研究会に入っている学生は、とかく「広告研究会所属のオレは有利なはず」と思っているが故に、そこだけをアピールしがちになります。
中には知識勝負を面接官に挑む人もいます。私も以前、「私は○○という一流企業のカップラーメンのサンプリングブースを運営したことありますが、中川さんはそんなことやったことありますか?」なんて上から目線で聞かれ、「う〜ん、そのラーメンはないねぇ」と答え、ソッコー落としました。多分「オレ様の知識・体験は現役広告会社社員よりも上だぞ、ウヒヒ」なんて思っていたのでしょうね。
あと、重要なのは別に「広告オタク」が欲しいというわけではないのですね。なんか面白そうだったり、知性があったり、感じの良い人が欲しいだけなので、会社に入ってすぐに学べる「広告の知識」をひけらかすのは無駄かもしれません。「広告研究会所属」以外でもあなたのユニークな点をぜひアピールしてください。
【Q.2】クリエイティブでなくては入れないのか?
そもそも「クリエイティブ」ということばを、広告会社の社員は多分嫌うと思います。なぜなら、広告の本質とは「作品」ではなく、「クライアントのコミュニケーション上の課題解決をする手段」だからなのですね。そんな時に重要なのはクリエイティビティというよりは、「当該企業・商品の何がコミュニケーション上問題か」が分かることと、「世間の関心事・世間の空気」が分かることだと思います。ですから、クリエイティブであれ、ということではなく、常識人であることがまずは重要なのではないでしょうか。あとは客商売ですから、感じがいい人の方が入りやすいでしょう。あと、上下関係や理不尽さに慣れていて、場の空気を読める体育会系は向いているかもしれません。むしろ、色々な人と会っていたり、大学生活を徹底的に楽しんだ人、自分の体験を活き活きと語れる人が良いです。あと、就活生全員に言えることなのですが、その会社や業界に合わせて自己PRをコロコロ変えるのは良くないですよ。それって「浅い知識を基にほかの就活生も言うような浅はかな偏見から産まれるネタ」ってことが多いから。以下、広告会社の面接で言ってはいけない2つの定型句です。【1】私は、サークルの渉外担当(“部長”でも“広報”でも何でもいいが)として、部員と学校当局・他大学との間の折衝を行いました。全員の課題をまとめ、全員にとって最大限の利益が得られるよう調整しました。御社はクライアントと生活者の間に立ち、全員が幸せになれるよう調整することが仕事だと思います。私は大学時代の渉外としての体験を広告の分野で生かしたいと思います。→広告会社の仕事を勝手に「生活者とクライアントを繋ぐ仕事」で、調整能力が大事だと頑なに思いこんでいるから。
【2】私は、昔から広告のチカラというものに可能性を感じています。例えば、東日本大震災の後、サントリーが71人の同社CM出演タレントさんによる『上を向いて歩こう』を歌ったことなど、どれだけ人を勇気づけたかということを考え、人々に笑顔と勇気を提供すべく広告会社に入りたいと思いました。私もこうして社会に活力を与える広告を作りたいと思います。
→社会や消費者に活力を「与えたい」という上から目線はダメ。あと、企業にとって最大級に重要なのは広告ではなく「商品」だから。まずは「商品愛」を持てなくてはダメ。文/中川淳一郎(編集者)