ソフトバンクホークスからFA(フリーエージェント)で巨人軍入りした杉内俊哉投手(31)へのバッシングが止まらない。

FA宣言したのは、そもそも球団の制度を変えるのが狙いだったはず。にもかかわらず、巨人軍のエースナンバー「18」を与えられて喜んでいる姿が、ホークスの選手やファンの感情を逆撫でしたらしい。やっぱり移籍すること、カネだけが目的だったじゃないか、ということらしい。

「行動や発言が支離滅裂で筋が何も通って無い」

決断した理由について、巨人軍への移籍が決まった2011年12月19日の会見では、球団の小林至取締役(43)から「FAしても(杉内投手を)必要とする球団はない」と言われるなど、小林氏の対応が酷かったことを挙げた。小林氏は20日に責任をとる形で取締役を辞任した。

にもかかわらず、移籍を決めた一番の理由として、エースナンバーの「18」を提示されたことを挙げた。

12月23日の巨人入団会見では「早くユニホームを着て野球がしたい」「原監督を胴上げしたい」などと嬉しそうに語った。しかし、巨人軍とは4年契約で総額20億円、「巨人軍入りは子供の頃からの夢」という報道もあり、ネットでは、

「ソフトバンク愛はなくて、結局はカネだったんだろ」
「行動や発言が支離滅裂で筋が何も通って無いじゃないか」

などとバッシングが繰り返されることになった。

メディアの中にも「なーんだ杉内 やっぱりFA宣言はテメーのためかよ」(日刊ゲンダイ:11年12月22日)といった批判が出てきた。

発言の背後に経営への不信感?

スポーツジャーナリストの工藤健策さんによれば、かつて落合博満氏がロッテから中日に移籍する際に、ロッテの悪口は言わなかったように、立つ鳥跡を濁さないという暗黙のルールがプロ野球選手には存在する、という。だから杉内投手も何も言わずに移籍すれば、バッシングは最小限に抑えられたはずだとみる。

それでもなぜ、一連の発言があったのか。ソフトバンクに対する強い不信感があり、言わずにいられなかったのだろうと工藤さんは見ている。

不信感は杉内投手に限ったものではない。たとえば年俸。新聞で報道されるものとは明らかに違っていることが多いそうだ。そのため、選手達に不満が溜まる。

「言ってはいけないと分かっていても、杉内投手のように語ってしまうのは、ある意味無理からぬことなんだと思います」