当時の福田総理の対応は立派でしたが、これが当たり前の対応というものです。役人ではなく、選挙で選ばれた政治家が全ての責任を負う。それを野田総理は、まったく理解していないということです。

 とはいえ、失策続きの野田内閣を自民党は攻めきれていないように見える。先日の党首討論でも、何だか煙に巻かれていたようにも見えた。

 今回の党首討論は、初顔合わせということもあって、今までの菅さんや鳩山さんを相手にしていた時の感覚でディベートしてしまったことが失敗の一因だと思います。さらには、自民党内でも消費税増税やTPPに関して、さまざまな意見がある。谷垣総裁も悩ましかったことでしょう。私のような無役の人間が好き勝手に言いますからね。 

 ただ、その一方で言えるのは、“どじょうは逃げるのがうまい”ということ。それは違うだろうという論理を使って、いかにもそれっぽく見せるんです。野田総理には、そういう才能がありますね。

 例えば、野田総理は消費税を上げると言っているけど、その手続きとしてはおかしいでしょう。マニフェストには消費税を上げるとは書いてない。政策インデックスには5%維持と書いてある。

 すると、野田総理は、

「消費税を上げるとは言わなかったが、消費税を上げるための法律を作らないとは言っていない。上げるか上げないかという問題は、選挙で決める」、などと言う。何となくそんな気もしてくる。でも、これを世間では詭弁というのです。

 自民党は先の参院選挙で消費税を10%にすると公約で掲げた。あとは、いつ上げるのかということが重要になってくる。

 ギリシャには、金利が上がり、国債が暴落するという予兆があった。しかし、

「日本には予兆がないから大丈夫」とは言えない。日本政府は、きっと財政再建を成し遂げる、と今のところ市場から思われているから、国債金利も低いまま推移している。

 しかし、財政再建ができなそうだとなれば、何の予兆もなく、国債が暴落する可能性だってあるんです。

 だから、私は1日でも早く消費税は上げるべきだと思っています。もちろん、ただ上げるだけでなく、皆さんに納得していただかなくてはいけない。

 そのためには、バラマキ政策をやめ、福祉はもっと重点化して、本当に困っている人に集中すべきですし、いちばんやらねばならないのは、国会議員の人数を削ることです。

 今回のことで、不要な議員もいるということも、明らかになったでしょうから。