「増税」ラッシュがやってきた!?

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「社会保障と税の一体改革」を旗印に、野田内閣が粛々と「増税」を推し進めている。消費税の増税、所得税や相続税の最高税率も引き上げるという。

そもそも、東日本大震災の復興財源の一部に充てる「復興増税」では、所得税額の2.1%上乗せを2013年1月から25年間という長期にわたって実施する。個人住民税は14年6月から10年間、年1000円の増税が決まっていて、国民負担は増すばかりだ。

最高税率現行の40%から45%に引き上げ

政府税制調査会の作業部会が検討に入ったのは、所得税の最高税率の引き上げ。現行の40%から45%に引き上げる方向で検討を進めるという。

現行の所得税率は5〜40%の6段階で、1800万円を超えると最高税率を適用している。2011年12月20日の作業部会ではこの最高税率を45%にすることが示された。

また、適用する所得区分は現行の1800万円超とする案から3000万円超とする案まで4案が出されたほか、最高税率の引き上げとあわせて、1500万円超の所得に40%の税率を適用する案も検討対象として示された。

一方、消費税は2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる方針。税率の引き上げで社会保障の安定財源を確保し、同時に財政の健全化を目指す。

ただ、消費税を増税すると、低所得層ほど税負担が重くなる「逆進性」が強まるとされる。それもあって、所得税や相続税の最高税率を見直し、高所得層の負担を重くすることで税負担の「公平性」を保つようにする。税負担の「公平性」を前面に押し出すことで、国民の「増税」への抵抗感をやわらげようというわけだ。

日本の所得税の最高税率は1983年には75%あったが、自民党政権下での減税措置などで大幅に引き下げられ、99年には37%まで低下。その後の景気後退に伴う税収の低下を理由に、2007年に再び40%に引き上げられたが、ここ数年は高所得層の拡大で「所得格差の拡大につながった」との指摘や、「高所得層の税負担が軽くなりすぎた」との批判があった。

年金受給者も高所得層はターゲット

高齢者でも、高所得層であれば「容赦」しない。年金課税では所得税の公的年金等控除を見直す方向だ。高所得層の年金受給者の控除を縮小することで税負担を増やす。

公的年金等控除は現行、たとえば65歳未満が年70万円まで、65歳以上が年120万円まで全額控除になっている。年間に受け取る年金額によって、段階的に控除額を設定しているが、これを見直す。

高所得層や富裕層への税負担を増やす、もう一つの見直しが相続税。最高税率を現行の50%から55%に引き上げるほか、相続財産のうち課税を免除する基礎控除の金額を5000万円から3000万円に引き下げる案が有力とされている。

ただ、贈与税については軽減し、高齢者から現役世代への資産の移転を促す考えだ。