17日に視察に向かう列車内で死去したとされる北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働総書記について、環球網など一部中国メディアは「遺体は永久保存される」との見方を示した。事実であれば世界的にもまれな「親子2代の遺体保存」になる。

 北朝鮮当局は金総書記の死を発表した19日、遺体は平壌(ピョンヤン)市内の錦繍山(クムスサン)紀念宮殿に安置すると発表した。同施設は金総書記の父である金日成主席の遺体が安置されていることから、一部中国メディアは金総書記の遺体も永久保存されるとの見方を示した。

 これまでに遺体に永久保存処置が施された政治家としては、レーニン(ソ連、現ロシア)、チョイバルサン(モンゴル)、スターリン(ソ連、現ロシア)、ホーチミン(ベトナム)、毛沢東(中国)、金日成(北朝鮮)などがいる。うち、レーニン、ホーチミン、毛沢東、金日成以外は改めて埋葬された。

 金正日総書記の遺体に永久保存処置が施されれば、世界的にもほとんど例のない「父子2代にわたる永久保存」になる。

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◆解説◆ 1994年に北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が死去し息子の金正日氏が権力を継承した際、中国首脳陣は「社会主義国家にあるまじき世襲制」と不快感を示したとされる。台湾で蒋介石総統が1975年に死去し、息子の蒋経国氏が権力を引き継いだ際に「権力の一族化」と批判しただけに、「同じ社会主義国なのに面子(メンツ)をつぶされた」との感情もあったとされる。

 中国の民衆の間にも「金王朝」を批判する声は強い。中国では「太子党」などと呼ばれる2世政治家も多いが、国家の最高指導者の息子が同等の地位を継承することはこれまでにない。また、毛沢東主席の息子の毛岸英が朝鮮戦争の際に最前線に赴いて戦死したことも「美談」として語り継がれている。

 北朝鮮では今のところ、金正日総書記の三男である正恩氏が後継者になるとみられている。中国も支持しているとされるが、イデオロギーにもとづけば「ほとんど考えられない事態」であり、中朝両国が「思想にはあまり関係なく、国益本位で結びついている」象徴的な現象と見ることもできる。(編集担当:如月隼人)