スキャンダルの渦中にいた女性は何を考えていたのか?

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 私たちが普段テレビやメディアを通じて受け取る芸能人のイメージは、必ずしもその人そのままを映し出しているわけではない。だが、一度定着したイメージを覆すことはなかなか難しい。

 元アナウンサーで今年、芸能界から引退した山本モナさん(現在は中西モナ名義でブログなどを展開中)は、2度のスキャンダルから「我慢できない女」などとメディアから叩かれ、今でも「肉食系女子」というイメージで見られがちだ。
 しかし、中西モナ名義で出版した『モナ 本当の私』(日経BP社/刊)の中で2度のスキャンダルについて、そのことによって歪められてしまったイメージと「本当の自分」について語っている。

■一度目のスキャンダル
 最初のスキャンダルは、『筑紫哲也 NEWS23』のキャスターとして第一歩を踏み出した2日後のことだった。その週の金曜日発行予定の週刊誌『FRIDAY』に、政治家との不倫が掲載されたのだ。
 その記事が出た金曜日の放送後から帰宅できず、「休養」させられ、ホテル生活を余儀なくされた中西さん。外部からの連絡手段も途絶え、盗聴の可能性から携帯電話は使用不可。一日中部屋の中にいるので昼夜の感覚も分からなくなったという。
 目を開けても閉じても周囲からバッシングさせられているようで、眠れない。泣いても、嗚咽をあげても、誰もなぐさめてくれない。「精神的に危なかった」と中西さんは振り返る。さらに報道の直後、とある番組で共演したことのあった人から心配する電話がかかってきた。中西さんは、“自分に負けない”という意味で「負けないように頑張ります」と答えたが、翌日のワイドショーで、その言葉は『報道なんかに負けずに頑張ります』という意味に置き換えられ、報じられていた。つまり、励ましの電話とみせかけた“取材”だったのだ。
 恋も仕事も失った中西さんは、孤独感と不安に襲われた。しかし、献身的に寄り添っていたマネージャーや、追い込まれないように放っておいてくれた母親など、親身になって救おうとしてくれた人の存在が支えになったという。

■二度目のスキャンダル
 一度目のスキャンダルの教訓からか、マスコミを警戒していた中西さん。しかし、二度目のスキャンダルが起きてしまう。
 本書では、二度目のスキャンダルの経緯については「今さらその時の経緯を書くつもりはない」とつづっているが、それでも1つだけ彼女が主張していないのは「何も後ろめたいことはしていないということ」だ。
 さらに中西さんはこのとき、スポーツ新聞が裏も取らずに全く事実でないことを事実のように書き立てたことに驚いたという。その情報のソースは「タクシーの運転手談」「関係者談」などあやふやなものばかり。そして、世間からのマイナスイメージはどんどん膨らみ、無期限謹慎の処分に。事実とは違う記事を根拠に、自分のイメージが出来上がっていき、それを根拠に自分が排除されていく。
 当の本人は、それを黙って見るしかないのだったのだ。

 本書では中西さんの生い立ちから、仕事にかける想い、自身の恋愛遍歴や仕事観、そして結婚に至るまでを赤裸々に語っている。
 この本を通して読むと、スキャンダル報道の過熱がいかに中西さんのイメージを歪めていったかを実感できるだろう。メディアと視聴者がスクラムを組んで、一人の女性を追い詰めていく。犯罪行為でないのにも関わらず、そこまで追い詰めて、何が残るのだろうかと疑問に思えてしまうほどだ。
 不器用で仕事に情熱を注いだ一人の女性の告白。女性のみならず、メディアから情報を受け取る全ての人に読んで欲しい一冊だ。
(新刊JP編集部)



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